カテゴリー
資料

ビジネスマン価値逆転の時代―組織とライフスタイル創り直せ


ミニレビュー

成功して不幸になる人びと』という本の中でこの本が引用されていて、非常に興味を持った(参考:コンセプトノート「筋の通ったわがまま」)のですが、絶版だったので諦めておりました。

しかし、著者のチャールズ・ハンディの『もっといい会社、もっといい人生―新しい資本主義社会のかたち』がとても面白かったので、「これは読まねばならない!」と決心して探し出しました。

絶版の本を「詳細は本書に譲ります」と紹介するのも不親切なので、できるだけ書評として完結させるように心がけます。

原題は”The Age of Unreason”(不条理の時代)。テクノロジーと経済の融合によって生じつつある不連続な変化と、それに対して企業が採用できる組織スタイル、および個人が取るべきライフスタイルを予測・提案しています。

特に興味を持って読んだのは個人のライフスタイルの変化。テクノロジーの発達と若年労働力の減少によって、生涯労働時間の大幅な減少や専門スキルへの高いニーズが生まれると予測した上で、大きく四つのワークスタイルを選択することが可能であるとしています。

1. (週45時間/年45週/25年)企業の中枢を担う常勤職(経営幹部、専門職など)。仕事はハードだが早期に引退し、早めに「第三の年代」に突入する。
2. (週25時間/年45週/45年)パートタイム。週あたりの労働時間を減らして長期間働く。
3. (週45時間/年25週/45年)臨時雇用。
4. (週45時間/年45週/10+15年)社会に出てから10年間は常勤職として働き、次の10年間は職を離れて家族の養育に専念し、その後もういちど常勤の仕事に戻って15年働く。

現在すでにそれぞれのスタイルのひな形はありますが、ハンディ氏が考えているのはもっと柔軟な状態です。現在は、4.のようなスタイルは現在では事実上女性のもので、かつ10年のブランクをおいてフルタイムの仕事に復帰するというのはかなり困難です。しかし、今後若年労働力が減少するにつれ、スキルを持った労働力に対するニーズが高まるにつれてこのようなワークスタイルが取りやすくなっていくだろうと予測しているのです。

復刊リクエスト(復刊ドットコム)

#原題の”The Age of Unreason”には少し違和感があります。というのは、不連続な変化の理由については本文中に書いてあるからで、ハンディからすればUnreasonとはいえない気がしたからです。辞書を繰ってみると、”The Abbot of Unreason”という言葉が見つかりました。これは中世のスコットランドでクリスマスの宴会の司会者を指す言葉とのことなので、この本を混乱の時代の水先案内に見立てているのかもしれません。

(参考)
コンセプトノート「仕事のポートフォリオ」

(初出:2004-9-30)

コンセプトノート