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成功の実現

  • タイトル:成功の実現
  • 著者:中村 天風(著)、公益財団法人 天風会(監修)
  • 出版社:日本経営合理化協会出版局
  • 出版日:1988-09-01

ミニレビュー

日本経営合理化協会が出版している中村天風さんの講演録シリーズは4冊あります。
『成功の実現』
『盛大な人生』
『心に成功の炎を』
『いつまでも若々しく生きる』

いずれも、「中村天風 著」ではなく「中村天風 述」なんです。著述よりは講演を好まれたそうで、これらの本は講演テープを文章に落としたものです。

その語り口の面白いこと。私が要約すると、この生き生きとした印象を殺してしまうのでちょっと気が引けますが、特に記憶に残った部分を記しておきます。

著者がインドで修行中、「自分とはなにか」を考えさせられる逸話が出てきます。ヨガの師がそういう公案を出すのですね。で、最終的に、自分とはこの体でもなければ心でもない、「気」だと、そういう結論に達します。

引用:

 だから、いままで自分だと思っていた肉体は、自分ではありゃしない。自分という気体が生きるための必要な仕事を行う道具なんだ。
 心またしかり。

心すら自分ではなく、道具である。この理解が、強くたくましい心を培うポイントのようです。心を強くして、感情に任せないことの大事さを、たとえばこんな風に説いています。

引用:

往来を歩いているとき、横から見ず知らずの奴が飛び出してきて、いきなりあなた方の耳を引っ張ったり、鼻をつまんであっち向け、こっち向けって言われたら、あなた方、礼を言う?ありがとうござんす、ご親切にって。
 怒るだろう。愛人がやったって怒るよ。肉体をそうさせられると怒るくせに、心をあっち向かされ、こっち向かされして怒らないのは、人がいいのか馬鹿なのか。人がいいんじゃない。馬鹿な方だよ。肉体よりも心を人の自由にさせられたら、このくらい恥なことはないぜ。怒ることがあるから怒るんだ、心配事があるから心配だというんじゃ、これはあっち向け、こっち向けと同じじゃないか。
 だから、どんな場合があっても、自分の心は自分がバンと守らなければ。そうして初めてほんとうの人間だもの。心だけは自分のもののように思いながら、ほかの者からいい加減にされていたら、恥ずかしいことこのうえないじゃないか。