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小さな会社☆儲けのルール―ランチェスター経営7つの成功戦略


ミニレビュー

(著者のkayanoさんこと栢野克己さんよりご寄贈いただきました。サイン付きで3冊ご寄贈頂きましたのでプレゼントいたします。詳しくはこちらをどうぞ)

■ 「2乗で効いてくる」ものはなにか
社員数100人未満の企業に絞った「弱者の経営戦略」を説く本です。
大企業と中小企業は同じことをやっていてはダメだとは、誰でも漠然とは分かっています。しかし、なにしろ世の中の戦略本の大部分は大企業のベスト・プラクティスを下敷きにしているので、具体的にどうすればいいのかが分からない。

大雑把にいうと、「小企業はゲリラ戦(接近戦)でいくべし」が原則だそうです。その根拠になっているのが「ランチェスターの法則」。広域戦においては兵力数の差が2乗で効いてきてしまうので、大企業と同じ戦法では絶対に勝てない。だから商品を絞り、販売エリアを絞り、客層を絞り、大企業の届かないニッチを探して徹底的に努力する。

世の「私にも出来た!・・・」系の本と一味違うのは、近道・抜け道をピシャリと塞いでいるところ。例えば7つの成功戦略の一つは「成功するためには長時間労働が不可欠」です。
著者は自らの経験から「成功には、費やした時間が2乗で効いてくる」としています。効率アップの工夫をすれば同じことを短い時間で済ませられますが、それはライバルもやっていること。どんぐりの背比べならば、努力の差は費やした時間の差になるだろうというロジックです。2乗で効いてくるのだから、人の1.7倍時間を費やせば成果は3倍になるはず。

つまるところ、「やるべきことを淡々とやるべし。近道はないよ。」というのが最大のメッセージです。決して意外性の高い本ではありません。でもなぜか読後にワクワク感が残ります。わたしも零細企業なので、ヨシ弱者の戦略で頑張ったろう、という気にさせられました。

その理由は、ひとつには「近道はないよ」ときちんと退路を断ってくれているところ。もうひとつはそうやって成功している企業の事例が豊富に載っているところだと思います。

大企業であっても新規事業に関係のある方、起業をチャレンジのひとつに据えていらっしゃる方、さらには自分なりの個人ブランドを築いていきたいと考えていらっしゃる方にはきっと得るものがあると思います。