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U理論――過去や偏見にとらわれず、本当に必要な「変化」を生み出す技術


ミニレビュー

600ページにせまる大著なので、ミニ書評では扱いづらいですね。U理論とは何についての理論なのか、ピーター・センゲの序文から引用します。

引用:

「偉大な発明は例外なく深い内省の旅から生まれる」。多くの人が密かにこの知を信じているが、深い理解が広まっているとはいえない。本書の著者オットー・シャーマーは、現代社会が抱える複雑に入り組んだ問題を解決する鍵は――そしてこれからの人類の繁栄を支えるものは――集団としてこの創造の源(ソース)にたどり着く方法を学ぶことだと提唱している。

創造と、それを可能にするための内省といえば、有名なリストが思い出されます。自分の知っていることと安直に結びつけると、それは「ダウンローディング」(既成概念にとらわれた状態での理解を指す本書内の言葉)だと言われそうですが(笑)。

  • 第一 資料集め――諸君の当面の課題のための資料と一般的知識の貯蔵をたえず豊富にすることから生まれる資料と。
  • 第二 諸君の心の中でこれらの資料に手を加えること。
  • 第三 孵化段階。そこでは諸君は意識の外で何かが自分で組み合わせの仕事をやるのにまかせる。
  • 第四 アイデアの実際上の誕生。<ユーレカ! 分かった! みつけた!>という段階。そして
  • 第五 現実の有用性に合致させるために最終的にアイデアを具体化し、展開させる段階。

アイデアが生まれる5つの段階*ListFreak

第三段階の「孵化段階」にあるとき、人の心の中で何が起きているのか、よく分かっていないわけです。本書が中心的に取り組んでいるのは、まさにここだと言えるでしょう。古今東西の知恵を集めつつ、Uの字の底に潜っていって、そこから浮かび上がってくるための方法論を、執念深いとさえいえる根気で体系化しています。他の場所でもう少し詳しく書いてみます。

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