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後悔と自責の哲学


ミニレビュー

後悔と自責。の哲学。タイトルのすごさに引かれて、思わず手に取ってしまいました。あとがきも迫力があります。

引用:

もうじき還暦を迎える私の人生は、後悔と自責の連続でした。それは、客観的にひどかったというより(この場合「客観的」であることに何の意味がありましょう?)私は、ある直観によって、子供のころから心ゆくまで後悔することを、自責の念をけっして潰さないことを心がけてきた。そのため、時折り(いまでも)からだがもたなくなるんじやないかと思うほど後悔し、このまま狂うんじゃないかと恐れるほど自責の念に駆られます。なぜ過去を変えることができないのか? この問いは、私にとって(いまでも)恐ろしく真剣な問いなのです。

なぜ後悔するのか?なぜ自由意志のとどかない「偶然」によって生じた事象についても後悔するのか?偶然の特殊な拡張である「運命」という考え方が後悔の気持ちを癒すメカニズムは?などなど、思うがまま(のように見えるほど奔放)に思索を深めていきます。当然ながら、なにか要約できるような「オチ」や「後悔しないためのコツ」を教えてくれるわけではありませんが、後悔と自由、自責と同情などについてぐいぐいと考えを進めていく著者の道のりをたどるのは、思いのほか楽しい作業でした。