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ひとつ上のGTD ストレスフリーの整理術 実践編 仕事というゲームと人生というビジネスに勝利する方法


ミニレビュー

はじめてのGTD ストレスフリーの整理術』の続編です。『はじめての〜』がGTDのステップをていねいに解説したマニュアルとすれば、本書はその復習+設計思想の解説書といった感じでしょうか。『はじめての〜』は未読だけどネットのあちこちでGTDの記事を拾い読んだので大体の概念は分かっている、という方はこの本だけでもいいかもしれません。

引用:

 これまでにも述べてきたが、物事をストレスなく、最大効率で進めていくためのキーワードは次の2つだと私は考えている。

・(状況の)コントロール
・(将来への)見通し

 個人や組織の生産性に関する限り、この2つを満足できる水準に保てるようになれば、他にやることはほとんどなくなるはずだ。

本書の主要部分もこの思想に沿っています。将来の見通しを「次にとるべき行動[高度0メートル] → プロジェクト[1000] → 注意を向けるべき分野や責任を負っている分野[2000] → 目標とゴール[3000] →構想(ビジョン)[4000] → 目的/価値観[5000]」の6つのレベルで考えたうえで、状況のコントロールを「収集 → 見極め → 整理 → 見直し →取り組み/行動」の5つのステップで行うというのが、GTDの大枠です。

……という順で説明するのが論理的だとわたしには思えるのですが、本書に限らず、著者の説明はいつも状況のコントロールから始まります。本書の目次立ても「状況のコントロール」→「将来への見通し」と組み立てられています。でも、これが受けている理由なんじゃないかと思います。「状況のコントロール」の方法が体系的なので、仕事がさくさく片付いていくイメージが持ちやすいんですよね。具体的な仕事のさばき方が分かったところで、そもそもどの仕事から手を付けるかといった優先順位の話に移っていく。もし「目的/価値観を明らかにせよ」から話が始まっていたとしたら、読者は「それは『7つの習慣』に書いてあった」と思うかもしれません。

「7つの習慣」といえば、監訳者の田口 元さんがあとがきで『GTDを実践している人の「7つの習慣」』というリストを作ってくれています。いつもながら本編の分かりやすさを増してくれています。

  1. 思いついたらすぐにメモをする
  2. To Doリストが状況別に整理されている
  3. 具体的なアクションが想像できるTo Doになっている
  4. リマインダーツールを使いこなしている
  5. 週次レビューを実践している
  6. 2分ルールを実践
  7. 思いついたらチェックリストを作る

GTDを実践している人の「7つの習慣」*ListFreak

最後にどうしても言及しておきたいのが、著者のネーミングセンスの良さ。”Getting Things Done”は慣用句そのまんまではありますが、勢いがあって分かりやすくて本の内容をよく表している言葉です。その後の”Ready For Anything”、今回の”Making It All Work”、すべて読んでみたくなるようなキャッチーなタイトルです。

(本書は監訳者から献本いただきました。ありがとうございます)

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