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コンセプトノート

139. 週記のすすめ(2)

「仕事のポートフォリオ」を考えるときに忘れてはならないのは研究活動を含めること。なぜならこの無償の活動がしばしば本業への布石となるから。これまでそんな話を書いてきました。

とはいえ、本業が忙しい中で研究活動を続けていくのは難しいもの。日記ならぬ週記をつけることで少しずつ深めていけるのでは?というのが前回のあらすじ。このコンセプトノートも週記(お休みもありますが…)なので、ご参考までにそのプロセスをご紹介します。

1.その週のイベントを振り返ってネタを探す

純然たる思考の産物、みたいなネタが自分の頭から出てくるとは期待していません。ほぼ100%「読んだ本(サイト)」「会った人」「体験したこと」など外部からの刺激がネタになります。そこで手帳その他を見たりしながらこの一週間を振り返り、ネタを探します。

2.印象に残っている単語や印象を書き出す

具体的には:
○○さんとのランチ → 社会起業 → 「トレーディング」にこだわる起業家多し → 神社モデルだってOKなはず → …
というような感じで、マインドマップよろしく印象に残っている単語や感想を書き出します。

3.研究テーマにどうつながるかを考える

たとえば経営者の方とお話をしていたら、話の文脈と関係なくピンと来た言葉があって、2.で書き出してみたとします。基本的には「なぜその話にピンと来たか?」を繰り返し問うことで研究テーマへのつながりを考えます。
わたしでいえば「個人としての選択・意志決定」みたいなことが研究テーマですから、「ピンと来た」ということは、(仕事の話であったとしても)経営者個人としての意志決定にまつわる何かが汲み取れそうだということです。だいたいは。

4.書く

3で抽出したつながりを書いてみます。書き出してそれを改めて読むと、たいがいは昔考えた理屈の蒸し返しであったり他人の考えの受け売りであったりすると感じますが、それでも書いてみます。というのは、考えが停滞しているのか深まっているのかは、自分でもすぐには分からないからです。

以前と同じ体験をしても、体験をする自分は以前と同じではありません。同じテーマを何回となく掘り返しているうちに、使い古しのアイデアに新しい意味を見出すこともありました。

ですので、自分なりにある程度深く考えたら、とにかくアウトプットしておくことに意味があると考えています。

5.他人に見せる

ここはオプションです。ただ、他人に見せることを念頭に置けば、読み手が持つかもしれない疑問や反論を多少なりとも意識します。意識すれば、もうちょっと調べてみようという気にもなります。

ですから自分のためにも役に立ちますし、読み手にも意外に役立つことがあります。自分の中では同じ話の蒸し返しのように思えることでも、ちょっと角度を変えることで読み手のコンテキストにぴたりとはまり、「そういうことか!」と感じてもらえることがあります。また読み手の意識もずっと同じではありませんから、たとえ全く同じ話であっても読む時期によってその受け止め方は違ってきます。書き手側からコントロールできないことは多いものですから、読み手を過剰に意識しない方がよいと思います。

そしてなにより、情報として世に出してみることで情報が集まる、研究活動が前に進みます。

わたしの事例でいうと、日々のネタ集めは別にして、週記には1〜3時間くらい費やしています。有給の仕事に直結こそしないものの、かなり効用は明らかになってきた気がします。また長くなってしまいそうなので、この辺は改めてまとめます。