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コンセプトノート

093. 直感の鍛え方

意思決定、選ぶ、決めるということを考える上で、「直感」の役割を無視するわけにはいきません。

消防士、軍の司令官、医療の救命チームなど、一分一秒を争う状況下において、熟練した専門家たちは「意思決定などしない。いくつかの候補を比較検討することもない」と異口同音に断言する。ところが、彼らは、素人にとって難しい状況でも、プロとして的確な判断を下している。この矛盾をどのように説明すればよいのだろうか?

『決断の法則 ― 人はどのようにして意思決定するのか?』という本の書評でも引用した文章です。この本ではそのような直感的な判断をモデル化したうえで、直感(文中では直観という字を使っていたと思います)力はトレーニングによって向上させることが可能であるとしていました。それはそうでしょうね。そうでなければ超能力者しか消防士になれないことになってしまいます。

その前に書いたコンセプトノート「直感の構造」では、直感というものは「習慣がくだす判断」と言い換えられるのではないかと書きました。

つい先日、米国の経済誌”The Wall Street Journal”が運営するCareerJournal.comというサイトに、直感についての面白いコラムを見つけました。(特にキャリア上の選択における)直感の重要性について述べ、その力を伸ばすルールを簡単にまとめています。粗い訳なので、興味のある方は原文にもあたってみてください。

先入観を捨てる(Watch for bias)
「直感」と「個人的な主観」とを混同してはならない。偏見や恐れ、ただの感情的な反応などから直感を選り分けるには、自らの思考を分析し続ける必要がある。

記録をつける(Keep a record)
浮かんだ閃きをメモしておいて、後で結果と突き合わせる。そうすればそれが「〜ればいいなあ」というような「希望的観測」だったのか「直感」だったのかを選り分けることができる。個人的な興味や望み、恐れなどが往々にして直感を曇らせていることが分かるだろう。

特別視しない(It’s a normal function)
ここでいう「直感」は脳の正常な機能の一つであり、超能力ではない。直感思考のためには問題に対する徹底的な準備作業が必要であり、事実と情報の収集が欠かせない。その問題の専門家であればあるほど直感が働きやすいゆえんである。

バランスよく(A combined approach)
「直感モード」と「分析モード」を上手に組み合わせよう。典型的には直感 → 分析・論理 → 直感というように。
「直感」は必ず論理的なフォローアップをしよう。直感思考は最終的には論理的に裏付けられなければならない。

分析したら、待つ。(Analyze and wait)
直感がいつ訪れるかを知ることは出来ない。集められるだけの情報を集めて、可能な限り論理的に分析し続けよう。その最中に閃くかもしれないし、休んでいるときに閃くかもしれない。「(資料を)枕にする」というよくある言い回しは、直感を育てるプロセスを指しているのである。

「直感」を、個人的な主観や感情に流された判断とは分けて考えているので明快ですね。論理的に分析しぬいたその先に「直感」があるという考え方も、これまで学んできた知見と呼応していると思いました。

(参考)
“Wise Job Hunters Trust Their Intuition”
(上記のルールはこのコラムから引用しています)

“Intuitive Management: Integrating Left and Right Brain Management Skills”
(上記コラムで引用されていました)

“Intuition as a career resource”
(このノートを書くきっかけになったblog)