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コンセプトノート

014. 日米500人インタビュー

なぜ起-動線のような会を作ろうと思ったのかと、よく聞かれます。社会的意義も高いと思っていますが、個人的な動機として一つきっかけになっているかなと思われる経験は・・・

アメリカで学んでいる日本人学生向けに、半年に1度の割合で大掛かりなJob Fairが開かれています。これは日本経済新聞社系の会社が開催しているもので、日本に拠点を持つ外資系企業や日本企業がブースを並べ、企業説明や面接を行うものです。

私は米国で働いていた間に何回か面接官として参加しました。実質2日半ほどの会期の中で1次・2次面接を行い、これはと思う方には筆記試験と最終面接をしてその場で内定を出してしまいます。特に1次面接では10-15分の間に2次面接に進んでいただくか否かを判断しなければなりません。材料は目の前のご本人と1枚のResume。

学部・学歴は不問、100%ポテンシャル採用が基本でしたので、起-動線でいう「人間力」を推し量ることになります。最初はうまく判断できずに時間が掛かってしまいましたが、徐々に自分なりの方法を編み出すことが出来ました。それは、人生の大きな選択における彼/彼女の思考プロセスを一緒になぞることです。日本国外に機会を求めたのはなぜか、なぜアメリカだったのか、大学を、専攻を選んだ理由など。授業でプロジェクトを組んでいれば、それを成功させるためのアイディアをしつこくお聞きし、自分だったらどうするかを考えてみました(その他にも「目に力がある」とか幾つか手掛かりがあるのですが、あまりロジカルでないのでここでは割愛)。

個々の判断の良し悪しは、もとより私には分かりません。事前の情報収集をしっかりやっているかということも、大事なことではあると思いますがあまり重視しませんでした。ただ、高校生あたりからの数年間の経緯をお聞きしながら、行動から教訓を得る力軌道修正を恐れない勇気のある人を探していたのだと、今になって思います。何かする前に石橋を叩く人は多いですが、いざ橋に乗ってしまうと無頓着、あるいは敢えて地面を見ない人もまた多い。最近は特に頑丈とされていた橋がいきなり崩れたり、柱が腐っていたりしますから、重要なのは事を始めてからでも考え続け、柔軟に軌道修正をしていける、いわゆる「走りながら考える」力ではないでしょうか(幾多の公共事業を想起されたし)。

日本でも面接官として採用プロセスに参加した経験があり、タイトルの500人というのは日米でお話をさせていただいた方の合計です。日米を比べると、アメリカで話をさせてもらった学生諸君の方が話が面白い。面白いといっては失礼ですが、自分で人生を創っている様子が窺える。日本では学ぶ場が無かったので、というくらい賢い人も、日本では大学に入れなかったのでしょうがなく、という人もいましたが、それなりに迷い、決意をし、行動して失敗してまた迷う、という経験をされている方が多いようです(あくまでも平均です。日本にいても考えている人は考えています。マニュアル化が進んでいるのは確かだと思いますが)。何年か社会人を長くやっているということで机の反対側に座って話を聞いてはいましたが、自分よりはるかに真剣に生きているなあ、と思える学生の方々の話を数多く聞けたのは私の大きな財産です。

「自分ナビ」およびその作成プログラムには、そんな人たちのものの見方・考え方に共通する要素を盛り込んだつもりです。そしてそんな人たちとたくさん出会えて話が出来る場を作りたい、これが個人的な動機の一つです。会の活動としてプログラムを販売してはいますが、生き方を指南しようなどという大それたことはもとより考えていません。プログラムの価値は、これが起-動線コミュニティの「言語」であるというところにあります。

※ 「自分ナビ」作成プログラムは提供を終了しています