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コンセプトノート

013. 大きく考え、小さく始める

起-動線的人々のある回でこんなことを書きました:

大きく考え、小さく始める。あらゆるチャレンジの基本です。

フルバージョンは
「大きく考え、小さく始める。いけそうだったらどんどん広げる」
というもので、英語で
“Think big, Start small, Scale fast”
という文句の私訳です。元々は、企業がインターネット技術を活用して既存のビジネスの拡大を図る・あるいは新事業に取り組むときの心構えとして作られた言葉で、私もしたり顔して方々で使わせていただきました。いまでもGoogleで上記の語句を検索すると、米国の大手企業の「当社のEビジネス戦略」みたいなページが多くヒットすると思います。

簡単に言えば以下の3ステップでやりましょうということです。(1) 構想段階では出来るだけ大きな青図を描いて、(2) でも最初は小さなところから始める。(3) 実際にうまくいけそうだったらなるべく速く規模を拡大する。

1999年当時は、大手企業はインターネットと名のつく事業を何か手掛けておかなければならないという時代の雰囲気がありました(いまでもそうかもしれません)。お客様の業務革新を支援する立場だった私の会社にとっては好機でしたが、インターネット技術が持つあまりの可能性の高さ・大きさを前に、どこから手を付けていいか見当がつきません。そこで当時の成功事例から抽出した一般的なパターンを紹介しながら一緒に知恵を絞っていくわけです。

まず頭を柔らかくして、考えられる限り大きな成功イメージを描く。社内業務の大幅な効率化かもしれませんし、全く新しい販売チャネルの創出かもしれません。次にそれが検証できるような小さなプロジェクトを手掛けてみて、そのアイディアが実際に機能するのか、問題点はどこにあるのかといった知見を得ます。もしうまくいきそうであれば、そのプロジェクトを思い切って速く、大きく展開します。なぜ速くしなければならないかといえば先行者利益を十分享受するため、なぜ大きくしなければならないかといえば規模の利益を享受するためです。
(その後”Start small”じゃあ大きなプロジェクトが提案しづらいというので”Start smart”という曖昧な文句に変わったりしました)

この考え方は、リスクを伴う決断が必要な局面において一般的に使える指針です。夢は大きく、たくさん持っておく。機会を見つけて小さく始めてみる。いけそうだったらどんどん伸ばす。自分で自分の人生にちょっかいを出すチャンスを、不断に狙っておきましょう。