持論の効用
起-動線のテーマは「個人の意志決定」です。これを「自分に対するリーダーシップを発揮すること」と解釈すれば、リーダーシップについての理論や実践家の言葉は大いなる参考資料になります。
『リーダーシップ入門』という本では、リーダーシップを身につけるために「リーダーシップについての持論」を持つことの意義をこのように強調しています。
内省を通じて、あるいは質問と議論を通じて、持論は経験から形成されていく。持論をもつから、内省も質問も議論も研ぎ澄まされたものになる。
リーダーシップに限らず、持論や仮説を持つことは、何かを身につける・学ぶ際に欠かせないスタンスだと思います。「自分ナビ」作成プログラムで、「とりあえずバージョン」でよいから「ありたい自分」を書いてみるというエクササイズを置いている理由もそこにあります。
持論をつくる2ステップ
この本には持論を作るためのアドバイスも色々とありました。読みながらまとめてみたところ、大きく下の2つのステップにまとめられそうです。見慣れない単語がありますが、解説を添えていますので読んでみてください:
1.素朴理論をTPOVとして言語化する(コツをまとめる)
素朴理論とは、例えばリーダーシップなら「良いリーダーというのはこういうものだ」という自分なりの思い込みのようなもの。良い悪いと感じるということは、何らかの基準を暗黙のうちに持っているわけで、それを素朴理論といいます。日常知ともいわれるそうです。
TPOV(Teachable Point Of View)というのは、直訳すると「教えられる視点」。意訳すると「人に語れるちょっとしたコツ」。”Teachable”という言葉が利いていますね。
内省であれば、「こうすればうまくいく」「これぞ○○」というものを、くだらなくてもいいから書き出してみる。
他人と話す機会があれば、どんどん口に出してみる。それを書き留める。
つまり、語れるコツをまとめていく。これが最初のステップ。
2.体系化する
体系化というと大げさですが、コツをカテゴリごとにまとめてみるとか、そのカテゴリに名前を付けてみるとか、○○五箇条を作ってみるとか、そういうことです。
結果として言葉になった五箇条は、
もしかしたら平凡な言葉かもしれません。
しかし、なぜこの五箇条なのか。
どのような意味が、知恵が、込められているのか。
問われればすらすらと語れるはずです。
そのようにして作った持論こそが、
未知の困難にぶつかったときの自分の判断基準になっていく。
それが持論の効用だと、考えています。