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コンセプトノート

159. 「取捨選択」でなく「取々選択」

やりたいことはいろいろあっても、我々の持ち時間は有限。
そこで何らかの取捨選択が必要になってきます。

「やめること」を先に考えよう

取ると捨てるでは、捨てる方が難しい。

梅田望夫さんのblogでは、2005年の末に『「やめること」を先に考えよう
というエントリが掲載されていました。

さあ来年は何を始めようか。そう考えるのではなく「何をやめるか」を先に決めよう。それも自分にとってかなり重要な何かを「やめること」。

それが「来年の抱負」「今年の抱負」を真に意味のあるものにするための最重要ポイントだと思う。新しく始める「何か」を決めるだけでは、できない場合がほとんどだ。

「時間の使い方の優先順位」を変えないと、新しいことを始める時間はなかなか捻出できない。とにかく「やめること」を決めなくちゃいけない。

そしてご自身の経験を語られています。読みやすく中身のあるエントリなのでぜひご一読いただきたいのですが、簡単にまとめるとこういうことです。

・本業に関わることで「今後○○には一切時間を使わない」と決めた
・それで生まれた時間を、自分が面白いと思える方向に振り向けられるようになった
・その結果新しい事業ドメインが拡がった

つまり、
「今やっている何かをやめる」→「時間ができる」→「新しいことができる」
ということです。

取捨選択のポリシーとして、「何をやめるか」を先に決めるというのは優れた発想ですね。また、新しいことに挑戦する時間を意図的に作り出すという点は、先日のノート『「ちょいヒマ」も強みのうち』にもつながります。

ただし、
「とにかく何かをやめてみよう!」
と、やめることを目的化してしまったり、
「まず何かをやめないと、新しいことはできないのか…」
と考えて、逆に足をすくませてしまっては、エントリの意図からは外れてしまうと思います。

曲がりなりにも現在何らかの意図をもってやっていることであれば、
目的もなくやめることはできません。
おそらく梅田さんもただ
「まず、何をやめるかを決めよう!」と考えたのではなく、
フリータイムを増やすために、何かをやめよう」
と考えたはずです。

『「やめること」を先に考えよう』というタイトルの意味は、
ただ「○○に挑戦しよう」という目標設定ではなく、
「××をやめることによって、○○に挑戦する時間を手に入れよう」
というところまで考えておこうということでしょう。

「取々選択」というやり方も

このエントリを読んで、わたしは「これをやめて、それからあれをやろう」という順番で考えていないことに気がつきました。

言ってみれば「取々選択」方式です。

つまり、
「やりたいことを決める」→「なんとか押し込もうとする」→「結果的に優先順位の低いものがこぼれていく」
ということです。

わたしも人並みに年頭に目標を立てますが、順調にいったとしても全部はできないだろうなというくらい多めに立ててしまいます。おまけに、あれこれお誘いを受けたり首を突っ込んだりしますので、年頭の目標の達成率を数字として見ると、かなり低くなってしまいます。

自分にとって「やめる」という決断はあまり能動的なものではなく、「現在優先順位が高いことをやるために先延ばしにする」という感じです。だからUNDONEリスト(できなかったことリスト)も、それこそ数百と積み上がってしまいます。

目標が達成できないこと自体は気持ちのいいことではありませんし、「なんとか押し込もうとする」ことでキツイこともあります。

それでも、結果にはおおむね満足しています。「取々選択」方式のメリットを考えてみると、こんなところでしょうか。

・真剣に時間配分を考えるようになる
・一石二鳥を得ようと工夫するようになる
・目標を達成することが自己目的化せず、常に優先順位を考え続けるようになる