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心の「とらわれ」にサヨナラする心理学


ミニレビュー

「マインドフルネス」がタイトルに付いている本を片っ端から読んでみようとおもっています。この本は原題がずばり”Mindfulness”でして、邦訳である本書の副題『人生は「マインドフルネス」でいこう!』にその名残があります。

「マインドフルネス」という言葉は、最初は”sati”(サティ (仏教) – Wikipedia)というパーリ語の英語訳として知りました。きちんと調べが及んでいませんが、1980年代くらいまでは”mindfulness”という単語は仏教用語であったと思われます。
しかしその後、”sati”状態を得るための瞑想を期限とする精神療法としての用法が広がっていきます。たとえばWikipediaでも、Mindfulness (Buddhism)Mindfulness (psychology) というふたつのエントリが立てられています。

後者の流れの嚆矢とすべきが、1989年に出版された本書。20年の時を経て訳が出た(邦訳の出版は2009年)という事実が、マインドフルネスに対する注目の高まりを示しています。
ハーバード大学で教鞭を執る著者は、もともと「マインドレスネス」、つまり下記のような、先入観や固定観念がわれわれの思考や行動を妨げてしまう状態についての研究を進めていたとのこと。

  1. カテゴリーによるとらわれ … 事物の定義づけや「こうあるべき」といった概念が固定観念と化してしまう
  2. 自動的な行動 … なじみのある状況では、無意識に状況反応的な行動をしてしまう
  3. 単一の視点だけからの行動 … 状況や目的を考えず、特定の考え方だけに従って行動してしまう

「マインドレスネス」な状態の定義*ListFreak

そして脱「マインドレスネス」としての「マインドフルネス」を研究するにいたります。自分の行動を支配している先入観に気づくことで思考・行動を改善しようというアプローチは、クリティカル・シンキングに通じるものがありますね。クリティカル・シンキングが論理的に考える方法を訓練することで「マインドレスネス」を脱しようとするのに対し、心理療法としてのマインドフルネスは、自動的にわき上がってくる感情や思考に気づく力を高めるところに力点が置かれます。

リスト (from *ListFreak)