カテゴリー
資料

いい会社をつくりましょう。


ミニレビュー

著者は、伊那食品工業株式会社 会長 塚越寛氏。「かんてんぱぱ」の会社として、株式を上場せず48期連続で増収増益を続ける企業として、また社員と地域に厚く報いる企業として、注目を集めています。

なぜ半世紀近くにわたって成長し続けられたのか。その理由のひとつは、「末広がりの八の字」「年輪を一輪ずつ増すような」と表現しておられる、安定成長主義にあります。

たとえば、『急成長をしないことも社会貢献』という項。

引用:

 

多くの経営者がいまだに、成長率は高いほどいいと決めてかかっています。業種を問わず、時代を問わず、社歴も何も問わずに、急な成長曲線を求めることは、間違いのもと。熟慮せずに成長一辺倒の経営計画を立てていると、矛盾が生まれるのです。そのまま放っておけば、ほころびが大きくなって、ぬぐいきれなくなるのは目に見えています。(p70)

失敗は失敗でいいではないか?著者はそうは考えません。成長を急いだ挙げ句に急降下してしまったら、社員に迷惑を掛ける。設備投資をしていたとしたら、環境に余計な負荷を掛けていたことになる。
ここまでは、わたしもかねがね考えていたことでしたが、急成長自体にも悪影響があるとする、次の一文はわたしの考えにはありませんでした。

引用:

 

 急成長が他の会社に及ぼす悪影響についても、考えておくことが大切です。パン一切れ盗んでも犯罪になるのに、ある企業の急速な拡大成長によって多くの企業が倒産しても、何ら罪にはならないというのは、おかしいのではないでしょうか。(p77、『会社経営は「ロマン」ではない』)

常に考え抜き、一貫させるという経営のあり方に学ぶところが大きい本でした。企業経営者のみならず、自分をわが人生の経営者とお考えの方にも是非。

(参考)
*ListFreak – 二十一世紀のあるべき経営者の心得

コンセプトノート

リスト (from *ListFreak)