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響き合うリーダーシップ


ミニレビュー

簡潔ながら奥の深い文章の数々。好き嫌いが分かれると思いますが、わたしは「好き」です。たとえばリーダーの責任を列挙したくだりには、こんな文章があります。

引用:

 

 リーダーは組織内に「心の関係」をつくらなければならない。組織は結局、人の集まりだ。思いやりがあり、目的を持ち、熱意のある人が組織のなかでどうなりうるか。リーダーは彼らを正しく評価する新しい基準を示さなければならない。
 いま、組織のなかで何ができるかと言わなかったことに着目してほしい。「何ができるか」は「どうなりうるか」の結果にすぎない。(傍点を太字に変えて引用)

著者が考える望ましい人物像が「思いやりがあり、目的を持ち、熱意のある人」という短い言葉に込められています。こういう端的な定義は、常日頃から考え抜いていないと難しいものです。
組織の中で人が「何ができるか」ではなく「どうなりうるか」を考えよというあたりも注意深く書き分けたうえで、この言葉の違いに着目して欲しいと追記する念の入れよう。

一読では十分に理解できない言葉もありました。たとえば人が組織に抱く「愛着」について。著者は「愛着は、あいまいさを認め、それに慣れようとする態度から生まれる」と言っています。最初はよく分からないまま読み流しましたが、いま書評を書くために読み直してみると、その後ろの部分で解説されていることに気づきました。
冒頭での引用部分にもあるように、組織内には「心の関係」が育まれなければなりません。心の関係は、契約の関係と違ってあいまいなものです。そのあいまいさを乗り越えさせるものが、個人が組織に抱く「愛着」なのです。

このように、文章自体が考えさせる力を持っていますが、さらに著者からの問いかけも混じっています。例えばこういった質問。単純にAかBかでは答えられない良問ですね。

引用:

 

 最後に質問をひとつ。あなたは「すぐれた」組織で働きたいだろうか、それとも「すぐれた人のいる」組織で働きたいだろうか。
 参加型マネジメントの基本を考えるときには、この質問が鍵となるだろう。

(参考)
4周年と参加型マネジメント」(発想七日!:ITmedia オルタナティブ・ブログ)