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働かないって、ワクワクしない?

  • タイトル:働かないって、ワクワクしない?
  • 著者:アーニー・J. ゼリンスキー(著)、Zelinski,Ernie J.(原著)、由希子, 三橋(翻訳)
  • 出版社:ヴォイス
  • 出版日:2003-09-01

ミニレビュー

個人的には、「働かない」って、ワクワクしません。ですのでやや斜に構えつつ読み始めました。

「働く=おカネのために、嫌な仕事を長期間・長時間させられる」

な方には目から鱗の内容かもしれません。起-動線のようなライフスタイル・ワークスタイルを考えるサイトにまで来てしまっている 方には、それほど目新しい内容ではないかもしれません。

というのは、上の「働く」の定義からも分かるように、この本全体が「仕事vs余暇」という構図からどことなく抜け切れていないように感じるからです。ただ、そう言って切り捨ててしまうには勿体ないような良いメッセージもたくさんあって、なかなか書評を書くのに困ってしまいました。

例えば「くだらない仲間といるよりひとりになれ」という章。たしかに、自由時間を楽しむことと、「ひとり」ということには深いつながりがあると思います。

引用:

 一人でいることには二つの面がある。暗い方の面は「孤独で寂しい」。明るい方の面は「独りで楽しい」。残念なことに、多くの人が一人でいることの楽しみを見つけ出せないでいる。

なぜ見つけ出せないかといえば、それは「セルフ・エスティームが低い」から。
セルフ・エスティームとは『ありのままの自分を受け入れ、それを尊重する気持ち』とあります。

引用:

人生において、幸福の代わりになるものはない。そして、セルフ・エスティームのない幸福というものもない。セルフ・エスティームは、他の人々や周囲の環境を通して得られるものではない。個々人がそれぞれ自分自身に与えるものだ。セルフ・エスティームが低い人は、他の人々の評価に依存する。このために、他の人々が考えたり言ったりすることに傷つきやすい。だが、他人が優れた評価者とは限らない。彼らもまた、セルフ・エスティームが低く、外の世界の承認を求めて躍起になっているのかもしれない。

判断基準を外の世界に求めることの危うさは分かっていても、「ひとりで考えて行動する」ことの恐怖からはなかなか逃れられないものです。結局すべての結果を受け止めるのは自分なのだと分かっていても、それでもなお他人と一緒に行動したがるものです。これは、群れを離れると強い動物の餌食になってしまっていた時代から染み付いている本能なのかもしれません(笑)し、自分は「汝の汝」として存在を確認しているからかもしれません。ともかく、上の引用箇所ではそういう大事なことを平易な言葉で語ってくれています。

読みやすいのも特長ですし、本の中に格言がたくさんちりばめられていたりして、楽しく読める仕掛けはしてあります。

…生活全般のゆとりを論じているという観点からこのカテゴリに。