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ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代


ミニレビュー

昨年出版された”A Whole New Mind: Moving From The Information Age To The Conceptual Age“がついに訳されました。しかも大前 研一氏によって。原著者は『フリーエージェント社会の到来―「雇われない生き方」は何を変えるか』のダニエル・ピンク氏。

先進国では、仕事の自動化や国際化によって、およそ体系化できるような仕事の価値が下がり続ける。さらに基本的にはモノが行き渡った状態なので、単なる機能対価格比のよい商品を作るだけでは付加価値にならない。そういった時代に必要なマインドあるいはセンスについてまとめた本です。
(文末の参考リンクを追っていただければ概要は掴めると思います)

機械やコンピュータで代替できない価値とは何か。アウトソーシングできない価値とは何か。誰しも、そんなことを漠然と考えたことがあるのではないでしょうか。その問いに正面から取り組んだ力作。力作ですが決して難解ではなく、この著者らしい一種の柔らかさや軽妙さがあって読みやすくまとまっています。

全体として大前さんご本人の著書同様に読みやすい日本語になっていて、読み逃していたポイントをたくさん再発見しました。2006年の私的ベスト本(ビジネス書部門)上位の予感がします。

とはいえ、たまたま原書を読んだ観点からすると、その柔らかさが翻訳を経てやや大前調(?)に変換されていることを感じます。
たとえば本書の第一章は、『なぜ、「右脳」タイプが成功を約束されるのか』という太ゴシック体が踊っています。一方原書では、十分な余白の中にぽつんと”RIGHT BRAIN RISING”。
デザインの違いもさることながら、内容的にも、『「右脳」タイプが成功を約束される』ではやや勇み足かな。そもそも「成功を約束」というトーンが原著者のセンスではないような…。

コンセプトノート