カテゴリー
資料

幸せを科学する


ミニレビュー

引用:

 

幸せは人間にとって永遠の課題であり、紀元前4世紀のアリストテレス以来、さまざまな哲学者や宗教家、小説家によって探求されてきた。事実、今日書店で目にする幸せに関する本のほとんどは、哲学者、宗教家、あるいは小説家やエッセイストによるものである。なぜ、心理学者によって書かれた、実証研究に基づく幸せについての本が少ないのだろうか?(「はじめに」より)

この問いはもちろん反語であって、心理学者である著者はその理由を知っています。「心理学では幸せという問題は、つい30年ほど前まで、研究に値するような現象とは見倣されていなかった」そうです。しかし「幸福は今や社会心理学、人格心理学の最先端のトピックであると言っても過言でな」いとのこと。そこで、幸福について何がどのように研究され、何が分かっているのかを紹介してみようというのが本書の目的です。

結論から言えば、あまり分かっていないことが分かりました。第1章から第4章まではもっぱら「何をもって幸福とするか」という話。その結論は、こんな雑駁なまとめでは著者に怒られそうですが、「幸福観は文化などによってさまざまである」「被験者の主観的な満足度を測定データとするのが主流である」ということです。

そして、何がどこまで分かっているか。たとえばこんなことが分かっています。そのほかの変数については、出版社のHPに詳細な目次が載せられているので、興味のある方は見てみてください。

◆アメリカでの実験では、持っているお金の多さと幸福度の間には相関関係がある。ただし、ある程度お金を持ってしまうと、それ以上のお金は幸福度を押し上げない。しかし、対象を世界に広げてみると、そういった相関関係は見つからない。たとえばアメリカの大富豪と東アフリカのマサイ族の(人生の)満足度は、あまり変わらない。
◆社交的な人はポジティブな出来事を、神経症傾向の人はネガティブな出来事を、より多く経験する。個人の性格は、幸福度に関係があるようだ。

全般に、多くの人が経験的に感じていたことを裏付ける研究結果が多い印象でしたが、面白い実験もいくつかありました。1ドルを「人に親切にするプロジェクトからの贈り物」として受け取った場合と、何も意図を知らされずに受け取った場合では、後者の被験者のほうが幸福度が高かったとのこと。予期せざる幸運は、あまり説明をつけずにそのまま噛みしめていた方がよいという結論なのですが、そうかなあ。

リスト (from *ListFreak)