ミニレビュー
「心理学ジュニアライブラリ」という、中高生向けに編まれた心理学の解説書シリーズの一冊。
序章 やる気が出ない わかっちゃいるけどやり出せない そんなあなたにぜひ読んでほしい
意欲は本人しだい?/意志はあるけど意欲が出ない?/意欲が出ないのも合理的?
1章 無気力は学習される
行動と結果の随伴性/学習性無力感/心理学における学習の概念/何が適応的な行動パタンか/生まれつき無気力な人間はいない/意欲はどこへいった/為すことも十分にできない/伸びても評価されない/為しても成らぬ,為さぬは大人の成らさぬなりけり/自然の摂理に反する知恵の末路
2章 認知が意欲を左右する
ナンバーズのほうが当たりやすい?/統制の幻想/正確に把握すると抑鬱的に
3章 原因を何に求めるか,それが問題だ
原因帰属/もういやな思いはしたくない/何が起きるか正確に予測したい/帰属先の分類と原因次元/大理論も素朴な疑間から
4章 期待が開くあなたの未来
安定性次元と主観的成功確率/自力と他力/たいへんそうで,とてもできそうにない/高校受験必勝法/効力期待/分割払い勉強法
5章 感情を認知的に科学する
感情のジュークボックス理論/偽薬効果/テニスコートの恋/恥ずかしい,驚いた,腹がたつ/結果依存と帰属依存/仮想場面実験/感情は一時的なものではない/感情の合理的コントロール
6章 好感度断然アップの決め手
どうすればほめられる?/ウソも方便/ダメもと,たなボタ大作戦
終わりに 最後のメッセージ ゆっくり,しかし着実に認知のくせを変えていきましょう
第3章以降は、バーナード・ワイナーの原因帰属理論の解説が大きなウェイトを占めています。
『客観的な結果に対する主観的な原因の認知が、期待と感情を経由して先ざきの行動への意欲や実際の行動選択を左右する。これが、意欲に関する原因帰属理論の考え方です。(p48)』
120ページ程度の薄い本ですので、意欲が心理学の世界でどう捉えられているかを把握するのに役立ちました。ただ、参考文献が少なく、さらなる勉強のとっかかりが得られなかったところが残念。これはシリーズの性格上仕方がないところですね。