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パイロットが空から学んだ一番大切なこと


ミニレビュー

著者は国際線ジャンボジェット機長。「坂井 優基」でamazon.co.jpを検索してみると、現時点ですでに10冊の著作をものしています。

引用:

時間という厳しい制約条件の中で、不確実性に対応するために編み出された様々な考え方や手法は日常のビジネスにも十分役に立つに違いないのです。(プロローグより)

という観点で、パイロットの仕事を紹介しながら、それがビジネス一般にどう敷衍できるかをあれこれ紹介してくれます。

たとえば「目的の明確化と手段の自由化」という項を見てみましょう。

引用:

仕事のやり方をものすごく細かなところまで指示する人がいますが、これではいつまでたっても人が育ちません。さらには指示を出す人が病気で休んだり、長期出張したりすると、たちどころに仕事が滞ることになります。

そんなことは知っているよ、という感じですよね。しかしこの本では、東京−ホノルル間を飛ぶときに、機長にはどのような裁量権があるか、最善の航空路をどのように判断するかといった具体的な事例が枕に置かれます。そのうえで、このように書かれているのです。

引用:

 飛行機の世界では昔から「何時にどこの飛行場を出発して、何時にどこの飛行場まで安全快適につくように」という目的のみを明示し、航空路や高度、搭載燃料の量などはその時の現場の判断に任せるというエンパワーメントが進んでいます。

 ビジネスの世界も同じではないでしょうか。最も大事なのは制約条件を守った上で、明示された仕事をやり遂げることです。細かな方法や手段についてアドバイスやサジェッションは与えても、最終的な意思決定は担当部署や担当者そのものが行うべきです。
 仕事のやり方をものすごく細かなところまで指示する人がいますが、これではいつまでたっても人が育ちません。さらには指示を出す人が病気で休んだり、長期出張したりすると、たちどころに仕事が滞ることになります。

このように書かれると、「目的の明確化と手段の自由化」がほんとうに大事なんだなということが分かりやすく伝わってきます。パイロットにあこがれた元少年諸君も、そうでない人たちも、楽しく読めるのではないでしょうか。