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なぜあの人だと話がまとまるのか?


ミニレビュー

起-動線ジャントー・クラブ2004年3月の「今月の一冊」

■実は硬派な自分論
タイトルから判断すると会議術・交渉術の本のようですが、実はまったく違うのです。最初の2章のタイトルを見てください。

 第1章「自分が本当に望んでいるものは何か」
 第2章「自分の価値を明確にする」

短いながら、最初にこのような章を置くところに著者の明快なメッセージを感じます。

まず、話をまとめることが目的ではなく、まとめることによって達成したい真の目的を考える。つぎに、話をまとめるために活かせる自分の個性を考える。

その準備段階を経て、いよいよ「話のまとめ方」になるかと思うと、

 第3章「戦略的に緊張構造を作り出す」

です。何と何の緊張かといえば、「ビジョン」と「現実」の緊張です。「緊張構造を作り出すことが全ての成功の鍵」とあります。

緊張構造とはなかなか難しい物言いですが、「ビジョン」と「現実」なるものに輪ゴムを掛けることを想像してみてください。両者の位置がそれぞれ明確でなければ掛けられませんし、あまり近すぎてはゴムがたるんでしまいます。話をまとめるには、ビジョンと現実の間に緊張構造を作ること。これが本書の基盤になっています。

■でも気軽に読める、ファシリテーションのヒント集
残りの章題も紹介しておきます。

 第4章「組織に動いてもらう」
 第5章「相手主義」
 第6章「話を聞く」
 第7章「それでもまとまらないとき」
 終章「話がまとまるための行動様式」

「話がまとまる」本らしくなっているでしょう 。章立ては大変構造的になっている一方、章の中は1〜2ページのエッセイ集というような仕立てになっています。章のテーマに沿って、カウンセリングや社会心理学などの理論を引用しつつ、著者の体験に基づいたファシリテーションの心得(技術というより心得というほうがしっくり来ます)を学ぶことができます。

#「緊張構造」というのは、『アメリカのベストセラー作家で、ビジネスの世界に芸術における創造手法を持ち込んだ』ロバート・フリッツ氏の言葉だそうです
“The Path of Least Resistance for Managers: Designing Organizations to Succeed”
Robert Fritz氏のWebサイト

#motoknさんが著者の田村 洋一さんをご存知とのことで、この本を紹介してくださいました。一読「これは!」と思いましたので早速無理を申しまして、田村さんにコンタクトを取った結果、起-動線ユーザー向けにプレゼントをしていただけることになりました。
> ニュース【プレゼント】『なぜあの人だと話がまとまるのか?』