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最高のプレゼンテーション


ミニレビュー

プレゼンテーションとはひとつのショーである

「プレゼンテーションとはひとつのショーである」。これは表紙の折り返しに書かれている言葉です。この一文、とりわけ「ショー」という言葉が、内容の素晴らしい要約になっていますし、読み手に期待を持たせてくれます。
例えば
『テーマを肯定的なことばを使って、短くしかも覚えやすい形で表現するのがポイントです』
などと書かれても具体的にどうすればよいか分かりませんが、このように著者が実践してくれていると、よく分かります(『』の言葉は、p53に実際に書いてあります)。

「情報を詰め込みすぎない」。この言葉は「プレゼンに成功する7つの条件」の1番目です。著者はこの本でそれも実践しています。正味200ページほどの中に、プレゼンの構成、アイスブレークの例、ユーモアのこめ方、聴衆に参加してもらうコツなどがバランスよく盛り込まれており、「この一冊でだいたいOK」感があります。

「韻文や頭文字など、多様な記憶の方法を使うことによって、参加者に重要な情報を思い出すのを容易にすることができます」(p81)。著者はこれも実践しています。例えば、聴衆から質問が来たときにはどう振舞うべきか。「TREES」です。

* Thank – 発言してくれた人に感謝する
* Restate – 発言者が言ったことを言い直す
* Encourage – しっかり答えることによって、発言を奨励する
* Ensure – 発言してくれた人が納得したか確かめる
* Stay – 誠実でありつづける

敢えて瑕瑾を挙げるとすれば、著者がアメリカ人なので、ジョークの例に違和感があるものがあること。スライドやOHPなどの活用法については書かれているのにプレゼンテーションソフトに関する記述がほとんど無いなど、技術的にやや古いこと。この2点です。しかし、それは本の魅力を減じるものではありません。

(参考)
聴衆の質問に答えるときの心がけ:TREES – *ListFreak

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