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マルチ能力が育む子どもの生きる力


ミニレビュー

人間の能力は大きく以下の8つに分類できるというのが、本書(あるいはマルチ能力理論)の基礎になっています。

言語能力(ことばを効果的に使いこなす力)
論理的―数学的能力(数字を有効に使えたり、何かを明快に論証できる力)
空間能力(視覚的・空間的に世界を正確に捉えたり、視覚的・空間的な認識を自由に転換させることができる力)
身体―運動能力(思考や感情を、自分のからだ全体を使って表現できる専門的な技術や、ものを自分の手でつくったり、つくり替えたりする力)
音感能力(多様な音楽の種類を、認識したり識別できる力や、つくり出したり、表現したりする力)
人間関係形成能力(他人の気持ちや感情、モチベーションなどを見分ける力)
自己観察・管理能力(自己の認識と、それを踏まえて適切に行動する力)
自然との共生能力(自分のまわりにあるおびただしい種類の植物や動物を認識し、分類できる力)

音感能力は音楽の時間に鍛えようという話ではありません。例えば何かを覚える際に、ただ言葉を書くだけでなく替え歌に乗せて歌うこともできます。このとき、前者は言語能力を、後者は音感能力を使っています。8つの能力を意識して学習プログラムを作ることで、生徒はそれぞれの得意な能力で学ぶことができるし、8つの能力をまんべんなく伸ばすことができる。これが大まかな理論です。

ワークシートや授業のやり方のヒントが豊富で、実践的な本です。社会人向けの研修でも、独りで考えたりグループワークをしたりと様々な方法を採り入れていますが、その目的と効果を考えるヒントにもなりました。