カテゴリー
資料

スタバではグランデを買え! ―価格と生活の経済学


ミニレビュー

さまざまな商品の値段の決まり方を、消費者がそれを得るためのコストという切り口から整理した本。タイトルでなんとなく引いてしまっていましたが、読んでみれば著者の誠実さを感じる丁寧な本でした。

内容については、著者による要約があります。

引用:

 

私たちが生活していく中で購入するモノやサービスの原価を突き詰めて考えていくと、私たちの消費支出の大部分は、広い意味での取引コストに対する支払いになっていることがわかります。
 モノやサービスを提供する企業側は、基本的には、消費者の取引コストを節約することを競い、それによってより多くの顧客を獲得して利益を増やそうとします。そのため、世の中の経済のしくみは、標準的な取引コストを節約するように進歩していると考えられます。(「おわりに」)

このシンプルな原理が、スタバはもちろん、ペットボトルや家電製品や百円ショップなど、身近なもので確かめられていきます。計算は四則演算の範囲ですし、図解も豊富。

読みながら「ロケットの中はこうなっている!」といった感じの図鑑(例えば”How Things Work“)を思い出しました。もちろん体裁は違うものの、「モノの値段はこうやって決まる!」ということが分かりやすく書かれています。子どもが中学校に上がったら(その時点で事例が古びていなければ)読ませてみたい。

これだけ平明に書き切った著者の筆力には感服しますが、敢えて言えば正確さを期すあまり、ちょっとまどろっこしい印象を受けました。『現実はもっと複雑ですが、単純化した架空の消費者を想定します(p84)』といった記述は、著者の誠実さがよく分かる反面、あまり何回も出てくるので、ややじれったく感じてしまいました。