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論理療法による三分間セラピー―考え方しだいで、悩みが消える


ミニレビュー

●事象と感情の間にあるもの

子どもが言うことを聞かないので腹立たしく感じたとします。

┌───────┐  ┌─────┐
│A【出来事】  │  │C【感情】│
│子どもが言う  │→│腹立たしい│
│ことを聞かない│  │          │
└───────┘  └─────┘

このとき実際には、出来事が直接感情を揺さぶっているのではなく、
人間の思考・信念がその感情の源泉にあるというのが、論理療法の基本的な考え方。

┌───────┐  ┏━━━━━┓  ┌─────┐
│A【出来事】  │  ┃B【信念】┃  │C【感情】│
│子どもが言う  │→┃    ?    ┃→│腹立たしい│
│ことを聞かない│  ┃          ┃  │          │
└───────┘  ┗━━━━━┛  └─────┘

たとえばそれはこんな感じです。

┌───────┐  ┏━━━━━━━━┓  ┌─────┐
│A【出来事】  │  ┃B【信念】      ┃  │C【感情】│
│子どもが言う  │→┃子どもは親の言う┃→│腹立たしい│
│ことを聞かない│  ┃ことを聞くべきだ┃  │          │
└───────┘  ┗━━━━━━━━┛  └─────┘

ここからが「論理」療法らしいところなのですが、人をしてある感情を起こさしめている信念(思考)の部分に論駁を加えてみます。

┌───────┐  ┏━━━━━━━━┓  ┌─────┐
│A【出来事】  │  ┃B【信念】      ┃  │C【感情】│
│子どもが言う  │→┃子どもは親の言う┃→│腹立たしい│
│ことを聞かない│  ┃ことを聞くべきだ┃  │          │
└───────┘  ┗━━━━━━━━┛  └─────┘
                        ↑                              
                    ┌──────┐                    
                    │D【論駁】  │                    
                    │なぜそうある│                    
                    │べきなのか?│                    
                    └──────┘                    

この論駁がしっかりしたものであれば、いままでの信念が理性的でなかったことに気が付き、新しい考え方を、したがって新しい感情をもたらすことができます。

┌───────┐  ┏━━━━━━━━━━━┓  ┌─────┐
│A【出来事】  │  ┃E【新しい考え方】    ┃  │F【感情】│
│子どもが言う  │→┃・成長に必要な過程    ┃→│頼もしい  │
│ことを聞かない│  ┃・子どもといえども他人┃  │力強い    │
└───────┘  ┗━━━━━━━━━━━┛  └─────┘

本書では、上記のステップを下記のように呼び習わし、3分間で自分の混乱を自分で鎮めるための方法論を豊富な事例と共に紹介しています。

A (Activating event: きっかけとなる出来事)
B (irrational Belief: 理性的でない信念)
C (emotional Consequences: 感情的な結果)
D (Disputing: 論駁)
E (Effective new thinking: 効果的な新たな考え)
F (new Feeling: 新たな感情)

わたしがひねり出した例では、理性的でない信念があっさり覆っています。もちろん実際にはそう簡単にはいきません。本書には「拭えない不安」から「アルコール中毒」、「先延ばし」にいたるまで実に様々なケースが紹介されていますので、理性的でない信念にはどんな種類があるか、どうやって問いを立てるかといったヒントが得られます。

「論理」療法という名前がちょっと恐ろしげです(そう感じさせるのは、どのような【理性的でない信念】なのでしょうか 笑)が、内容はいたってストレートで、分かりやすく感じました。

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