ミニレビュー
2010年のFIFAワールドカップ(サッカー)で日本代表チームのキャプテンを務めた選手の本。
何か専門的な心理療法を学んだとか、特殊なメンタルトレーニングをしているとか、そういう人ではないのですね。心を整えるといっても、たとえば高名な瞑想の先生に教わって、常人には到達できない精神状態になれているとかいう話では、まったくないのです。
帯に「誰もが実践できるメンタル術!」とあります。帯の言葉にはめずらしく(失礼)、これは誇大広告ではありません。長谷部選手がやっているのは、誰でもできること。でもそれだけに、できることをしないわれわれの言い訳がふさがれてしまいます。
たとえば、ここを引用する人は多いんじゃないかと思うのですが、睡眠のマネジメントが重要と述べるくだり。
『 僕は電気をつけたまま寝たことがない。本を読みながら、テレビを見ながら、ゴロンと横になって、いつのまにか寝ていたということがない。これを言うといつも驚かれるが本当だ。』
転職面接とか重要なプレゼンとか、誰にでも大事な日はあります。その前の日にはしっかり寝ようと思います。でもそういう日に限ってなかなか寝付けなかったりします。どうするか?著者はこう考えます。
『 寝るという行為は意外と難しい。目をつむっても思い通りに寝つけないことも多々ある。だからこそ、普段から「いい睡眠」を取るために夜の時間を自分自身でマネージメントできているかが鍵になる。』
普段から、いい睡眠を取るために工夫を重ねておくというのです。それが口先だけでない証拠に、音楽、お香、高濃度酸素、特製ドリンク、アロマオイル、耳栓にいたるまで、自身の工夫を紹介しています。
自分のアタマで考えて、できることを、きちんとやる。生き方が清々しい。