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象の鼻としっぽ

  • タイトル:象の鼻としっぽ
  • 著者:細谷 功(著)
  • 出版社:梧桐書院
  • 出版日:2010-10-21

ミニレビュー

コミュニケーションギャップのメカニズムをていねいに考え、解き明かした本。コミュニケーションにおいて、どこでどんなギャップが生じるのか、それはなぜかといった話が、240ページの本の実に220ページくらいまで続きます。ギャップの埋め方については、最後の最後のほうでヒントが提示されるにとどまっています。

では面白くない・使えない本なのか。その正反対なところがおもしろい。コミュニケーションギャップの所在と原因を学ぶという本来の読み方もできますし、あるテーマについてじっくり考えるという「考える面白さ」を学べるところにもありそうです。

「ああ、これは実にフレームワーク思考のよい実践例だなあ。さすが『地頭力』の細谷さん」と思いつつ読み進めました。フレームワーク思考を学ぶ本として見てみると、最後の20ページのヒント編が、ページ数に似合わず大きな価値を持っていることが分かります。

問題解決のプロセスになぞらえていえば、220ページをかけて問題の分析と原因追究に使ってきた思考法を、解決策の立案に用いたらどんな感じになるか?のヒントが、最後の20ページです。ハウツー本は前段を20ページにはしょってここを220ページにふくらませるわけですが、本書はその逆になっているのです。

……と思ったら、「おわりに」にこんな文がありました。
『すでにお気づきの方も多いかと思いますが、(略)“なぜ”論理的に、フレームワークを使って考える必要があるのかを、「フレームワーク」という言葉を使わずに定義してみよう、というのが本書の試みの一つでした。』
「お気づき」になったつもりで悦に入っていましたが、もとよりそれがねらいだったのか。

(本書は著者からご献本いただきました。ありがとうございます!)

(参考)
コミュニケーションギャップの3つの根本原因 – *ListFreak

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