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最新脳科学でわかった 五感の驚異


ミニレビュー

引用:

マウンテンバイクのツーリングを率いている盲目の男性。
名を伏せたフランスワインでも産地と何年物かがわかるソムリエ。
釣り糸の感触で魚の種類・性別・年齢がわかる釣りの達人。
クッキーの一原料がいつ変質しはじめるかわかる味の鑑定士。

重要なのは、こうした人々の例をあげているのはごく一部の人たちだけがずばぬけた知覚能力に恵まれていると言いたいからではなく、だれもが持っている知覚の潜在能力に光を当てるため、ということだ。
(「はじめに」から一部編集のうえ引用)

その潜在能力とは、たとえば脳の神経可塑性(体験に応じてその領域や脳細胞のはたらきを変えられること−はじめにより)であり、多感覚情報(複数の知覚からインプットをまとめて受け入れる)を扱う能力であり、とりわけ他の人間の動きに敏感であるといったことです。

聴覚・嗅覚・味覚・触覚・視覚、それぞれで超人的な知覚能力を発揮している人たちの話がわんさと紹介されていて、それだけでも面白いのですが、そういった能力が潜在的には(つまり顕在化させるためには努力が必要ということですが)自分の脳にも備わっているのだと思うと、さらに面白い。

引用:

 ひょっとすると、無意識の能力が意識上に直観として現れることがあるかもしれない。その直観に仕向けられて、ある人をほかの人よりも好ましく感じるのかもしれない。それでもこの直観は、相手のにおいや、こちらの動きを相手がなにげなくまねる様子を無意識に感知していることに微妙に左右されている可能性がある。
(略)無意識の能力の多くは、意識の届く範囲内にあることがわかっている。反射音をもっと細かく聞きとることも、味の個々の構成要素に気づくことも、習得できるようになる。(略)それは、内なる動物たちがみんなそれぞれに隠れた能力を備えて、わたしたちがその知覚潜在能力を意識的に使いこなせるよう手助けするべく、待機しているようなものなのだ。(おわりに)

自分の知覚に意識を向けることで、いままでは直感と思っていた感覚に根拠が見えてくる。そんな経験をしてみたいものです。