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フィールド 響き合う生命・意識・宇宙


ミニレビュー

尊敬する知人に紹介され、読みました。

『 宇宙と結びついた私たちのからだには、もはや「自己」と「非自己」の区別は存在せず、その根底には一つのエネルギー・フィールドだけが存在する。』

タイトルにもある「フィールド」というのは「ゼロ・ポイント・フィールド」のこと。Wikipedia(英語版)の”Vacuum state“には、「個々の量子場の真空状態の同義語としてゼロ・ポイント・フィールドという言葉が用いられることがある」(Zero-point field is sometimes used as a synonym for the vacuum state of an individual quantized field)とあります。この時点で、読み通すのはちょっとツライかも……と思いましたが、事例の面白さもあって読み通せました。

ホメオパシーとかサイコキネシスとか遠隔透視とか、一般的にうさんくさいとされている事象の観測と分析に取り組んでいる科学者たちの活動を紹介しています。

その真偽の判定はわたしの能力を超えますが、それらの事象をことごとく「ゼロ・ポイント・フィールド」で説明してしまおうとする姿勢に強引さを感じます。個別に例をあげていくときりがないのですが、
・わたしのような一般読者でもわかる科学的事実からスタートしつつ、
・そこから「とすると〜ということになる」とちょっと飛躍させ、
・さらに「もしゼロ・ポイント・フィールド理論が正しいなら、〜となる」とたたみかける
といった展開が多いように感じられました。読み手に量子論についての十分な知識があるわけでもないのですが、「いつのまにか置いていかれる」感じといったらいいですかね。