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ブルー・オーシャン戦略 競争のない世界を創造する


ミニレビュー

「血みどろの競争(レッドオーシャン)から抜け出し、競争のないブルー・オーシャンを創造せよ!」と語られて、心の動かないビジネスパーソンはいないでしょう。ましてやこの表紙です。

市場創造の方法論を、極めてMBA的なパラダイムというか、サイエンスとしての経営学というか、左脳先行型アプローチというか、そういった切り口(笑)で整理したところに価値があると感じました。

新しいニッチを見出すのは創造的な作業で、ある種のセンスが必要だと思っていた。ところがこの本を読むと、バリュー・イノベーションという「ロジック」、戦略キャンバス、アクション・マトリクス、効用マップといった「ツール」が揃っている!このようにして、わたしを含めた「お勉強好き」なセグメントの心をくすぐったところが、この本が売れた理由であるように思います。

皮肉っぽい書き方になってしまいましたが、そう揶揄したくなるくらいよくできているということです。骨太な戦略論は往々にして「過去の成功事例をまとめただけ」「言っていることは正しそうだが実行が大変すぎる」という批判を受けますし、たしかにそうかもしれません。それでも、考えるための枠組みがあるというのはとてもありがたい話です。特にこの本は、細かい分析を並べて我々をげんなりさせる代わりに、じっくり考えるためのシンプルなツールに絞ってあるところが気に入りました。

たとえば戦略キャンバス。これは、横軸に製品・サービスの評価ポイントを並べ、縦軸にその(主観的な)高低をプロットしただけの図です。しかし、自分の関わっている製品・サービスでこれを考えてみると、図上で明らかに識別できる強みを持っているものは案外に少ないことが分かります。

引用:

 

 戦略キャンバスを描くのは決して簡単ではない。主な競争要因を見極めるだけでも、ひどく骨が折れる。(p117)