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働くということ – グローバル化と労働の新しい意味


ミニレビュー

市場個人主義

引用:

 

 だから、と彼らがいいます、ソフトウェアエンジニアが、どんなときに、だれに、どのように自分の技能を売るかを選ぶ自由に干渉すべきではない。また、オフィスの清掃会社が、どんなときにでも一番安い賃金で一番良い仕事をしてくれる清掃人を選ぶ自由に干渉すべきではない。一方が売り手市場で客を探していることと、他方が買い手市場で人を雇っていることとは関係がないと。
 このような一連の考え方は、一般にネオリベラルと名付けられており、それを私は「市場個人主義」と呼ぶことにします。

(下線部は著作では傍点)

わたしの理解を大雑把にまとめると、この本のテーマは、上で定義されるような市場個人主義は徐々に世の中を不平等に、階級社会を作り出す危険性があるということです。

「働くということ」の意味や扱いがどのように移り変わってきたのか、この本でいう市場個人主義がどのように生まれてきたのか、いまの流れの先にはどのようなリスクがあるのか、などを知る上ではとても有用な本です。

講演を翻訳して本にしたというスタイルのせいか、構成が今ひとつ分かりにくく、また文章も平易なところと難解なところが入り混じっているような印象を受けます。とても大事なメッセージがあるように思うだけにちょっと残念。

> JILPT国際フォーラム「市場個人主義の時代」
−ロナルド・ドーア氏(ロンドン大学名誉フェロー)講演−