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偶然のチカラ


ミニレビュー

未来が見えないとき、いったいどうしたらいいのか。

「はじめに」でこのような問いを立てておいて、著者はおもむろに古今東西の「偶然」を巡る旅に出ます。古代ギリシアの『歴史』、確率論の歴史、占い、各種の宗教、南方曼荼羅などなど。

著者があとがきで『本書は、目の前に立ちはだかる偶然にどう対処すればよいのか、さまざまなエピソードをもとに42の断章の形式で論じたものです』と書いているとおり、それほど明確なまとめがあるわけではありません。強いていえば、「おわりに」にまとめっぽい文章があります。さらにまとめてみるとこんな感じでしょうか。

・困ったら、自分で選択するな。
・自分の身に起きたことはすべて必然と考えよ。
・確率を無視するな。
・いいことも悪いことも連鎖しがち。いいことはこまめにつなぎ、悪いことはこまめに断て。
・いい流れには黙って従え。

自分で選択するな?なぜそんなことになってしまうのか、詳しくは本書に譲ります。

個々の主張を吟味していくと、本にある論拠だけでは納得しがたいところも多いのですが、全体としては楽しく読めました。個人的には、いわゆる南方マンダラというものを教えてくれたことに感謝したいと思います。

コンセプトノート