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起業戦略―ビジネスの生み方・育て方


ミニレビュー

著者が研究してきた起業・事業開発の方法論については既に下記のような本が出版されています。

(実際に読んで、ためになったと感じた順に)
『アントレプレナーの戦略思考技術―不確実性をビジネスチャンスに変える』
『儲けの戦略―新規事業の計画・評価・検証』
『なぜ新規事業は成功しないのか―「仮説のマネジメント」の理論と実践』

この本は新書なので、以上の本のエッセンスをまとめた入門書として位置づけることができます。

ちょっと楽しかったのは、巻頭近くにある「起業フレームワーク」。簡単に紹介しましょう。

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現在のあなたの年収は600万円。
このまま順調にいけば5年後に800万円くらいが見込めるとします。

では仮に起業したとして、その苦労に見合う5年後の報酬は?
……倍の1600万円としましょう。

1600万円の報酬を望むなら、会社にも同程度の利益を計上したい。とすると5年後の当期利益も1600万円。

これを利益率で割ると5年後に必要な売上高が計算できます。ここでは事業モデルの似た起業の平均を使っておきましょう。仮に10%とすると、1億6000万円の売り上げが必要になることが分かります。

あなたの新事業で、5年後にはあなたが狙う市場の20%(!)を抑えていると仮定すると、8億円の市場規模が無ければなりません。
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この考え方は、別の本では「逆損益計算法」として紹介されています。すなわち5年後に必要な利益を産み出すための、将来のB/SとP/Lを書いてみるということです。