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コンセプトノート

193. 自立したいなら、頼ってみる

伝えたいなら、黙ってみる

人前で話をしていて学んだことがあります。
滔々と語ることが伝えることではない。
話を聞いて欲しければ、まず黙る。
話すべき人が黙っていれば、自然と顔を向けてくれる。
顔を見て話せば、聞いてもらえます。

話し終えたら、また黙る。
聞き手はその「間」で内容を咀嚼します。

黙ることでより伝えることができる、ということです。

綺麗にしたいなら、汚してみる

先日、面白い商品を知りました。
タンク式のハンドソープで、ソープを出すためにレバーを押し下げると、
その手のひらにインキが付く仕掛けになっています。
そのインキが取れるまで洗えば、自然と手が綺麗になる。

歯磨きのトレーニングのために、嗜好を染める液がありますね。
あれと同じです。

汚すことでより綺麗にすることができる、ということです。

創造したいなら、壊してみる

行動ファイナンスや心理学で、「アンカリング」
(錨を下ろす)という言葉があります。
人間は知識や経験を互いに関連づけて覚えるのが得意で、
それがプラスにもマイナスにも働きます。

何かを抜本的に変えたい、新しい何かを創造したいと願っていても、
古い何かがある限り、人間は必ずそれに引きずられます。

壊すことでより創造的になれる、ということです。

学びたいなら、忘れてみる

大人になってから新しい思考法を学ぶのは大変です。
自分が培ってきた思考法が有効であればあるほど、学びを阻害する。
学びには「守・離・破」の三つの段階があるといいます。
自分の常識をいったん忘れて新しいやり方に従う(守る)ことが
できなければ、その先には進めません。

忘れることでよりよく学べる、ということです。

自立したいなら、頼ってみる

では、自立したいなら、どうすればいいか?
上の例を敷衍すると、頼ってみればいいことになります。

自身しっかり立てているかどうか分からないのにこう書くと
笑われそうですが、これは真実を含んでいると思います。

自分の身を振り返ってみると、
数万人の会社に就職し、
数十人のベンチャーに転職し、
2人で起業し、
いまは1人で仕事をしています。

不思議なもので、独立の度合いが高まれば高まるほど、
他人に頼らなければやっていけないことに気が付きました。

自立の志があれば、自尊心を損なうことなく
頼る勇気を持てることを知りました。

頼れる相手を持つために、
頼られる何かを持ちたいとも思いました。

自分で立つ覚悟がないまま頼ってしまうと、
その支えなしでは立てなくなってしまいます。
そんな例も、少々見てきました。