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コンセプトノート

219. 目標のために記憶を振り返るべきなのか

今週書評をアップした『目標設定練習帳 新装改訂版』では、472個もの質問で、過去の記憶を振り返り、「生活史ノート」なるノートに書き込んでいきます(詳しくは書評をどうぞ)。

わたし自身は過去を振り返っていわゆる「棚卸し」をしたり、「成功体験」を云々した経験がほとんどありません。大事なエピソードはそれなりに覚えているし、そこまでしなくても目標は持っているつもりですので。

ただ、先週アルファ版を立ち上げた「1200ヶ月記」を埋めてみて、ちょっと気がついたこともありました。

社会にでてからの15年間は、どの6年間を取ってみてもそれなりに変化があり、学びがあった。残念ながら何も思い出せない月もかなりありますが、年というスパンで見れば(年記というページもあります)、決して密度の低い年月ではなかったと思います。

「6年間」としたのは、それに比べて小学校の6年間を埋めることがほとんどできなかったから。昔のことを、まして特定の月のイベントなど忘れているのは当然だと思いますが、年単位で考えてみても、何をしていたのか・考えていたのか、よく思い出せない。

しかし、6年間は6年間。しかも頭の柔軟な小学生としての6年間ですから、かなりのことを吸収していたはず。ものの見方・考え方に影響を与えたイベントはむしろ、小学生の6年間の方が多かったと思うのです。

書評でも引きましたが、過去の記憶が未来の目標設定に重要という、その理由を説く印象的な一文がありました。

『記憶とは、今というこの瞬間を過去の思い出として、未来にとどめておこうとする本能的な脳の働きである。』

たしかに、重要でない(と無意識のうちに判断した)ことはどんどん忘れます。わたしは興味のないことの記憶力が本当に弱く、よく家族に笑われます。

もし小さい頃の記憶を思い出せたとしたら、自分が(無意識のうちにであっても)選択的にその記憶を留めておいた意味が、そこにはある気がします。