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コンセプトノート

207. 熟慮、しかるのち決断

多くの人は宙ぶらりんの心地悪さから解放されたくて、即断の誘惑にさらされるが、決断に時間をかければかけるほど、結果は賢明で理にかなったものになるはずだ。
― ルドルフ・ジュリアーニ『リーダーシップ』 p149

「熟慮、しかるのち決断」というのは、『リーダーシップ』という本のある章の題です。

わたしは「よい」意志決定というものを、「機を逃さない」「後悔の少ない」意志決定であると定義しています。以前は「早い」「後悔の少ない」と言っていたのですが、早ければ早いほどいいという意味かと聞かれたので、「機を逃さない」という言葉にしました。タイミングの重要性については、別の箇所に言及があります。

 決断において、一番慎重を要するのは、その内容ではなく、タイミングだろう。決定がなされるまでの時間的余裕がどれくらいであっても、わたしは、しなくてはならない時機が来てはじめて決断する。(同上、p149)

ということはおそらく、氏は以下の順序で考えているということです。
1. いつまでに決断しなければならないかを知る
2. 決断の内容について熟慮する

決められることは先にサクサク決めておきたいのが人情ですが、そうしない。それは、決断に責任を持つことの重みを知り抜いているからでしょう。

 いったん決断を下したら、それを固守しなくてはならないが、最終段階の直前までは、確定的に思える事柄まで含めて、考えを変えることをためらうべきではない。(同上、p149)

とはいえ、なかなか腰を据えて考える時間は無いと思われる方も多いと思います。元ニューヨーク市長もそうでした。では、どのような態度で臨めばよいか。

 リーダーは即断と熟慮のバランスを保たなくてはならない。決断を下すためには、じっくり考える余裕がないときの対処法も知っておく必要がある。(同上、p168)

 リーダーは、決断を下すまでに可能なかぎり時間をかけなくてはならないが、意思決定のプロセスはただちに始動させるべきだ。期限が五日後だとしたら、問題点の調査と検討に取りかかるのは今であって、四日後ではいけない。(同上、p170)

この章から読み取れた、ジュリアーニ流決断プロセスを以下に整理しておきます。

  1. いつまでに決断しなければならないかを知る
  2. すぐに検討を始める
  3. 可能なかぎり時間をかけて熟慮する
  4. 考えを変えることをためらわない
  5. ぎりぎりまで決断せず、自らを中立に保つ
  6. 決断を下したら、それを固守する

ルドルフ・ジュリアーニの決断プロセス*ListFreak