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コンセプトノート

054. 投げずに離す。打たずに運ぶ。

先日の「きゃりあ・ぷれす」座談会でトークのお相手を務めさせていただいた松田恵美子さんの肩書きは、「身体感覚講座」の講師。

例えば水が入ったコップ。持ち方次第で感じる重さも、水の味も変ってくるでしょ?といった実演から「身体感覚」を説明してくれました(わたしは頭でっかちなせいか、そこまで至らなかったんですが・・・)。心に残った言葉をひとつ紹介しましょう。

昨年「復活」と騒がれた読売巨人軍の桑田投手は、復調(この記事によると「新生」)のきっかけを問われてこう答えたとのこと。

「投げる」のをやめたから。
「投げる」のではなく「離す」、どのようにして球を離すかという点に意識を集めることが出来たから。

ネットで「桑田」「武術(←古武術の先生に師事した)」「離す」などで検索してみると、たしかに「離す」というのは新生桑田のキーワードのようですね。

この話を聞いて、以前に読んだゴルフの本を思い出しました。

ゴルフは、ボールを「打つ」ゲームではなく、「運ぶ」ゲームである。

目の前のボールを「打つ!」と思ってニラんでいると、なぜか思い通りに飛んでくれない。「あそこまで『運ぼう』」と思えば余分な力が抜ける。こんな話でした。

ちょっとものの見方を変えてごらんよ、という例はたくさんありますよね。面白いなあと思うのは、「言葉で」変わるというその事実です。

いくら体を動かしてもできなかったことが、「投げると思わずに離すと思ってごらん」と言われてフッとできるようになる。桑田選手がどうだったか知りませんが、そんな経験ありますよね。

ことに臨むにあたって、どんな言葉を用意するか。難解な・高尚な言葉である必要は全くありませんが、言葉の力を軽視するべきでもありません。起-動線が「座右の銘」だの「ありたい自分シート」だのといって言葉にこだわるのは、自分の言葉を持つことの強さを知っているからです。

頭で考えるだけでは動けない。でも頭で考え抜いた言葉はあなたを後押ししてくれます。