多くの人からご推薦をいただいていた『影響力の武器―なぜ、人は動かされるのか』をようやく読みました。
内容についてはnfujishimaさんが投稿してくださったミニ書評とAmazonの書評に譲りますが、人が動かされる6つのルール(後述)にひとつひとつ「その通り!」と膝を打ちつつ読んでしまいました。
これほど詳しく調査した著者が提案する「防衛案」なるものがそれほど強力に思えないところが、いっそうこれらのルールの強力さを物語っているようです。
この本は、悪質な誘導に引っかからないためにこれらの知識を使って欲しいというトーンで書かれています。しかし当然、人間が社会の中でこういう行動パターンをとりがちだという知識自体には善も悪もありません。よく活かせばデール・カーネギー(『人を動かす』)になれるわけです。
さてそこで、起-動線的に「この武器を自分に向けられないか」と考えてみました。それほど強力であるならば、自分を後押ししてくれる力になるに違いありません。
以下、ややこじつけなところもありますが、簡単にまとめてみました。
★★自分を動かすための6つのルール★★
■返報性 ― 人は、他者から何かを与えられたら自分も同様に与えるように努める。
「先にもらってしまう」、先に恩を受けてしまいましょう。すなわち、積極的に他の方に相談に乗ってもらったり、人を紹介してもらったりするのです。
先に恩を買ってしまえば、お世話になった方に恩返しをしたい(しなければならない)という返報性のルールを自分に向けることができます。
■一貫性 ― 人は、自分の言葉、信念、態度、行為を一貫したものにしたい(あるいは他の人にそう見られたい)という欲求がある。
自分のチャレンジは他人に宣言しましょう。未達成でも、自信が無くても、とにかく自分のチャレンジを他人に知らしめることで、一貫性のルールを自分に向けることができます。
■社会的証明 ― 人は、他の人々が何を信じているか・どう行動しているかを見て、自分が何を信じるべきか・どう振る舞うべきかを決める。
自分と似たチャレンジを共有するコミュニティに参加しましょう。起業なら起業という志を同じくする仲間と意見交換をしていくことで、社会的証明のルールを自分に向けることができます。
■好意 ― 人は、自分が好意を感じている知人に対してイエスと言う傾向がある。
運命共同体、すなわち「利害を同じくする他人」を作りましょう。もちろん自分が好意を感じている人と、チャレンジの成功を分かち合えるようにしましょう。起業であれば創業パートナー、伴侶、投資家などが候補です。
自分が志を曲げてしまいそうになったときでも、「利害を同じくする、自分が好意を感じている他人」から励ましや叱咤をもらえれば、好意のルールを自分に向けることができます。
■権威 ― 人は、権威に服従しやすい。
よく学び、自分に自信をつけましょう。自らこそが権威だと思うことで、権威のルールを自分に向けることができます。
自分が権威になるというよりも、いい「権威」を見つける、すなわち、いいメンターを見つける、という方がいいのではないかと思いました。(nfujishima)
■希少性 ― 人は、機会を失いかけると、その機会をより価値あるものとみなす。
今このチャレンジに臨もうとしている自分のラッキーさを考えましょう。健康であること、友人がいること、親が元気であること…なんでもいいです。
足りないもの・不利な条件はいくらでも挙げられると思いますが、たかだか正月を80回程度しか迎えられない人生の中で、とにもかくにもチャレンジをしたいと思えたことの価値を考えれば、希少性のルールを自分に向けることができます。
「希少性」の適用は、「残りあとわずか」と言われて動く傾向ですから、時にかなり厳しい期限や制約を自分に課し、そのご褒美を十分大きくしてインセンティブを高めるというのがいいかなと思いました。
(nfujishima)