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コンセプトノート

197. 人生を一発勝負にしない(ミニ・チャレンジあるいはココロミの重要性)

先日、ちょうど還暦の方の事業プランをおうかがいしました。事業化に取り組まれて2年。商品化直前で資金(退職金)をほぼ使い果たされ、資金調達の道を探しておられました。

退職されてから「残りの人生を賭けられる仕事を」と思い立ち、かねてより温めていた幾つかのネタから選んだ事業とのこと。しかし、商品は一種類。業界も、これまでのお仕事とは関係がありません。蓋を開けてみなければ分からないとはいえ、退職金を全て注ぎ込むにはリスクが高すぎる選択です。

「早い時期に失敗を経験しておくことが重要だと思う。」
これは、やはり先日お話をうかがった、グロービス・グループ堀代表の言葉です。かならずしも起業家の話ではありません。子育て、あるいは社会人教育という話題の中で出てきた言葉だったと記憶しています。

起業・転職といった大きなチャレンジにおける個人の意志決定をテーマに据えて起-動線を開始して、4年半経ちました。まだまだ研究の途上ですが、精神的な面を除くハウツー的な面では、下記が決定的に重要であると信じるに至りました。すなわち、
「いかに小さなチャレンジに分割するか」
「どうやって大きなチャレンジの成否を占うミニ・チャレンジを見つけるか」
ということ。

冒頭の方には、資金を使い果たす前に事業性を推し量るためのミニ・チャレンジを設定するチャンスがありました。また事業を伸ばしていくにあたって自分自身の強み弱みを推し量るためのミニ・チャレンジを考案することもできたと思います。そこでの失敗から学んでいくことによって、一発勝負を避けつつ成功の可能性を高めていけたはずです。

実際には、就職や結婚のように、人生の大きなイベントでは事前に経験を積むことができないものが少なくありません。しかし、試して学ぶためのミニ・チャレンジに分割するというスキルは、未経験のチャレンジに対しても使えます。チャレンジを様々な角度から分解して考える手法は、「自分ナビ作成プログラム」の終盤で使っています。

また、大きな目的がなくても、常にちょっとしたチャレンジを課しておくことで、自分の意外な強みや弱みを発見できます。ミニ・チャレンジを共有できるグループblog「ココロミ」は、そのためのツールとして考案しました。