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コンセプトノート

170. 不確かな状況を打開する、意志決定マトリクス(3)

『不確かな状況を打開する、意志決定マトリクス(1)』では、迷いが生じる状況は
・選択する際に選択肢が多い
・選択した後の結果の予測が難しい
の2軸で考えられるというアイデアから、下記のようなマトリクスを作り、


┏━━━━━┯━━━━━┓
予 複┃ │ ┃
測 雑┃ (2) ← (1) ┃
さ ┃ │ ┃
れ ┠──↓──┼──↓──┨
る ┃ │ ┃
結 単┃ (3) ← (4) ┃
果 純┃ │ ┃
┗━━━━━┷━━━━━┛
少 多 曖昧

選択肢の多さ

2回目は意志決定を少しでも左に、あるいは下に持っていく方向について考えてみました。

最終回の今回は、「各カテゴリに合った問題解決のアプローチ」についてです。
各カテゴリといっても、(1)の領域にあるような難しい意志決定は、前回の方法で他の領域に移してしまうので、主に(2)と(4)が対象になります。

(2)、つまり選択肢は限られているが選択した後どうなるかがよく分からない例として、前回は転職を挙げました。同じカテゴリでもっと困難な意志決定の例として、ジョセフ・L. バダラッコ教授が『「決定的瞬間」の思考法』や『CEOアカデミー』で提示している『「善」か「善」かの選択』を挙げることができます。
起-動線で扱っているのはこの領域の話が多いと思います。アプローチとしては、いわゆる「シナリオ・プランニング」や「シミュレーション」をしっかりやることができます。自分ナビ作成プログラムもまさにそうですが、ここではコンセプトノートから「決断を試す」というノートを紹介しておきます。

(4)、つまり選択としてはシンプルだが選択肢が多いという状況は、複雑ではあっても困難ではない、といえます。たとえば、「PCを買う」という決断を先にしてしまったとしたら、どのPCでも出来ることには大きな違いがないので、比較・検討をしっかりやりさえすれば納得のいく答えが出てくるでしょう。

ただ、シンプルな選択であっても、数多くの心理的なバイアスがかかることが知られています。『行動ファイナンス』という本では、「決定麻痺」(選択肢が増えると選択しなくなる)、「条件の対比」(ほかの選択肢に引きずられる)、「極端の回避」(極端な選択肢を避ける)、「理由の光と影」(前向きな選択ではプラス面を、後ろ向きな選択ではマイナス面を重視する)(以上p70より)などというバイアスの存在が指摘されていました。しかもこれらはほんの一部に過ぎません。

実際には、一つのチャレンジには様々なタイプの選択が含まれます。例えば転職するかしないかという選択は(2)的です。いざ転職すると決め、企業を探す。これは(4)的です。では、仮に2社から内定が出たとして、そこから1社を選ぶのはどうでしょうか?これは(3)というより(2)的です。スケールは小さくなりますが、やはりどちらを選んだらどうなるというシミュレーションは必要だからです。

長くなってしまったので、これまでの3回で書いたことをまとめておきます。

0. 「意志決定が難しい状況」とは、(1)の状態である


┏━━━━━┯━━━━━┓
予 複┃ │ ┃
測 雑┃ (2) ← (1) ┃
さ ┃ │ ┃
れ ┠──↓──┼──↓──┨
る ┃ │ ┃
結 単┃ (3) ← (4) ┃
果 純┃ │ ┃
┗━━━━━┷━━━━━┛
少 多 曖昧

選択肢の多さ

1. 予測される結果の複雑さを下げる、あるいは選択肢を減らすことで(1)から動かせないかを考えてみる

 a. 予測される結果の複雑さを下げる(上から下へ)
  「分ける」「縮める」「試す」

 b. 選択肢を減らす(右から左へ)
  比較項目を並べて相殺していく

2. 各カテゴリに合った問題解決のアプローチを用いる
 (2)に対してはシミュレーション(未来予測のテクニック)
 (4)に対しては比較検討(選択のテクニック)

3. 上記を繰り返しながら、徐々に問題を絞り込んでいく