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コンセプトノート

124. チャレンジの最初の壁

Aさんの起業

つい先日起業した知人のAさん。独りでの起業です。

事業ドメインが何であれ、事業を始めた以上、
とにかく営業しなければなりません。

頑張って飛び込み営業などに挑戦して一ヶ月。
どうにも成果が上がりません。

そこで気分転換に、自分より数年前に独立した年若の後輩Bさんを
訪ねました。Bさんの苦しい時代にはずいぶん力を貸したAさん、
ちょっと愚痴でも聞いてもらおうというつもりでした。

Aさんの事業計画とこの一ヶ月の過ごし方を聞いたBさんは、
しかし、真剣な顔で「僕に二つ約束してください」と迫りました。

一つは、売上計画を倍にすること。
一つは、一週間以内に、以前の会社の仲間10人にコンタクトすること。

飛び込み営業より難しいチャレンジ

前者もなかなか深い意図があるのですが、ここでは後者に絞ります。

Bさんが見抜いたのは、Aさんが飛び込み営業などのチャレンジをしながら、「昔の仲間に頼る」という、もう一つの、そして更に難しいチャレンジを避けていたこと。

Bさんはこう語ったそうです。

『企業に残った仲間が何気なく掛けてくる「よお、●●屋さん」「商売の方はどう?」という言葉。僕は、何の照れも羞恥もなくこういう言葉を受け止められるようになるまで、3年掛かりました。

Aさんの事業を考えたら、昔の仲間に最初のお客になってもらうのが一番じゃないですか。カッコつけてる場合じゃないでしょう。』

自分の事業を、そして自分を信じる

Bさんのアドバイスは、もちろん売れやすそうなところにターゲティングせよというマーケティング上のアドバイスでもありますが、同時に、ある覚悟をAさんに迫るものでもありました。

自分で選んだはずなのに、いざ踏み出してみるとどうにも居心地が悪い。照れくさい。
起業に限らず、キャリアチェンジや大きなチャレンジをされた方なら、大なり小なり感じることではないでしょうか。

この壁を崩せるかどうかはひとえに、自分の事業を、そしてその選択をした自分を、どこまで信じられるかにかかっています。

良い結果が自信につながるのは当たり前です。
チャレンジを始めたAさんに必要なのは、
最初の好結果が得られるまでやり通す心の強さ。
それがBさんのメッセージだったのだと思います。