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コンセプトノート

103. チャレンジにも筋トレが必要

仕事のパフォーマンスは筋トレ感覚で伸ばす

先日、@ITというサイトを運営するアットマーク・アイティ社の藤村代表とランチをご一緒しました。ア社は私の前職のベンチャー企業とほぼ同時期、ITバブル後期の創業。わたしの方は力及ばず1年半で事業清算となりましたが、@ITは着実な経営を続けておられます。

日々数字を見たり営業に出たりするほかに、新事業への挑戦も不断にやっておかねばなりません。社長業は大変でしょうねというありきたりの質問から話が広がっていくなかで、「アタマも筋肉のようなものだ」というお話をしてくださいました。

たとえば財務的なことが得意でなかったとしても、毎日やっていればそれほど頭を使う必要はなくなってくる。しかしちょっと間を空けてしまうと、とたんに敷居が高くなる。
営業が苦手な人も、毎日出掛けていれば慣れてくる。しかし数日外に出ないと、とたんに億劫になってしまう。
あるいは、(異動・転職などで)ゼロから仕事を始めたときには、先輩がとんでもなく高い生産性で仕事をこなしているように見える。しかし徐々に仕事の構造が見え、自分なりにルーチン化ができてくる。

脳ミソ筋肉とかルーチン化というと聞こえが悪いですが、仕事の基礎体力づくりと考えれば納得でしょう。覚えた仕事・必要な仕事をエネルギーを使わずに済ませられれば、本当に「考える」ことに時間を費やせます。

起-動線式「チャレンジの筋トレ」メニュー

これは仕事のスキルだけではなくて、リスクに挑む・チャレンジをするというメンタル面にも当てはまる話ではないでしょうか。

もしそうなら、チャレンジ精神はどうやって養うか?

筋肉は「繰り返し負荷を掛ける」ことによってしか鍛えられません。
筋トレなくして大ジャンプなし。

とすると、大きなチャレンジを考えている人は「チャレンジの筋トレ」、つまりミニ・チャレンジを習慣づけておいたほうがいいことになります。

転職を考えている自分のミニ・チャレンジは何か。
起業を考えている自分のミニ・チャレンジは何か。
ここを考えるのが難しいわけです。「自分ナビ」作成プログラムでは全方位チェックシートでミニ・チャレンジを考えますが、簡易版としてこんなステップで考えてみてはどうでしょうか。

1.「最もリスクと感じていること」を見極める ― 起業に対して自分が感じているリスクのうち、最も大きいものは何か。モノが売れないこと?いや、モノが売れなくて生活が困窮することではありませんか?多くの場合は、様々な不安が重なっているものですのでよく考えましょう(「自分ナビ」作成プログラムでは9つの視点から考えます)。

2. ミニ・チャレンジを考える ― 1で出てきた不安を直接解消するために何ができるでしょうか?1が具体的であれば具体的なアクションが思いつけると思いますが、不安の正体が抽象的だと、ミニ・チャレンジも抽象的になってしまいます。モノを売ったことが無いならフリマに出店する、年収ダウンが恐いなら1ヶ月切り詰めモードで暮らしてみる、小さなことでもいいので期間限定で実行可能な自分プロジェクトを定義します。

3. 実行しながら観察する ― 大事なのは、終わってからではなくて「ミニ・チャレンジの最中に」自分がどう感じているかを観察することです。
チャレンジというものは、結果だけでなくそこを目指すプロセスに意義が見出せなければなりません。結果はどうあれミニ・チャレンジそのものが楽しめるかどうか。日記などにメモしておくといいでしょう。

4. 結果を振り返る ― 結果そのものの成功・失敗はさておき、自分としてはエイヤッという思いでやってみたミニ・チャレンジはどうだったか?を振り返ります。当初考えていたほど高い壁ではなかったかもしれませんし、単なる苦痛だったかもしれません。もし今回のミニ・チャレンジが一回限りのものでなく、ずっと続くものだったらどうでしょう?

チャレンジの機会は自分で選べる場合と、突然降ってくる場合とがあります。実際は突然降ってくる場合の方が多いのではないでしょうか。

わたし自身、いちどは企業の中でなく一人でやってみたいなと思っていましたが、会社が清算になるような機会が降ってこなければ一生踏み出さなかったか、あるいはずっと遅れていたと思います。

そして筋トレ不足だったので今いろいろと苦労をしています。しかし、現在のこの経験が何か大きなチャレンジのミニ・チャレンジであるとすると、それは何だろう?と楽天的に考えたりすると、なにか楽しくなってきます。