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コンセプトノート

359. スキルとしての感情マネジメント

EQ理論(EI理論)の提唱者のひとりであるデイビッド・カルーソ博士は、対談の中でこう述べていました(記憶に頼って書いているので、正確な引用ではありません)。
『ハードスキル/ソフトスキルという表現があるが、EQはハードスキルだ。テクニカルスキルだ』

この発言の意図は、(わたしの解釈では)EQは一般に思われているようなあいまいな概念ではなく
・測定できる
・トレーニングによって伸ばせる
スキルであるということです。(EQという言葉もまた幅広い使われ方をしますが、博士の言うEQは”Emotional Intelligence Theory“を指します)

その例として博士が挙げていたのがMicroexpression(Wikipedia、以下「微表情」と書きます)です。これは情動を抑制しても無意識に現れる、瞬間的でかすかな表情の変化です。表情研究の第一人者ポール・エクマンの研究が、この分野でも有名です。

表情を読むのが先天的に上手な人もいます。こういった人はおそらく微表情をはじめとしたかすかなシグナル(研究が進めば、微挙動なんていうのも見つかるかもしれません)を読み取るのがうまいのでしょうね。エクマンらの研究によれば、嘘の表情の下に隠された本当の感情を微表情から読み取るのが抜群にうまい人が、2万人の被験者の中に50人ほど見つかったそうです。彼らは”Truth Wizards”と名付けられています。

対談に先立つ講演で博士は、感情と表情の関連に関する知識を学んだり、意識的に表情の変化に注意を払う練習を重ねることで、微表情を読むスキルは伸ばすことができると述べていました。

よく「情と理」「知情意」などと言います。人間のこころを構成するあらゆる理論に「感情」が入っていますが、「理」「知」に比べると教育プログラムがまだまだ少ないように思います。