- タイトル:人間らしさとはなにか?―人間のユニークさを明かす科学の最前線
- 著者:マイケル・S. ガザニガ(著)、Gazzaniga,Michael S.(原著)、裕之, 柴田(翻訳)
- 出版社:インターシフト
- 出版日:2010-02-01
ミニレビュー
この本のトピックの幅広さを、まずは目次でご確認ください。
引用:
1章 人間の脳はユニークか?
2章 デートの相手にチンパンジー?
3章 脳と社会と嘘
4章 内なる道徳の羅針盤(モラルコンパス)
5章 他人の情動を感じる
6章 芸術の本能
7章 誰もが二元論者のように振る舞う
8章 意識はどのように生まれるか?
9章 肉体など必要か?
2章のタイトルがわかりづらいのですが、要するに人間のユニークさをチンパンジーとの違いにおいて考えてみようという章です。
個人的に興味があったのは4、5、7、8章でした。たとえば5章は感情知能がなぜ重要かを教えてくれます。
引用:
人は随意に意図的に一つの抽象的な視点から別の抽象的な視点へたやすく柔軟に切り替えられる。私たちはシミュレーションしている情動を想像力だけで巧みに操れる。視点を変えれば違う情動のシミュレーションにつながりうる。(略)
言葉や想像から情動をシミュレーションしたり、視点を使ってシミュレーションを変化させたり、未来や過去に自分自身を投影したりする能力は、私たちの社会的世界を豊かにし、自分のシミュレーションをほかの種のものよりも力強く複雑にすることができる。(5章 結論より)
きちんと引用文献が付けられていて、どんな興味から読んだ人であっても学習を深めていけると思います。唯一難点があるとすれば、やや語り口が冗長なところでしょうか。600ページを超える大著の中には、「ジョークはいいから話を先に進めて!」と感じるところもちらほら……。