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心が脳を変える―脳科学と「心の力」

  • タイトル:心が脳を変える―脳科学と「心の力」
  • 著者:シュウォーツ,ジェフリー・M.(著)、ベグレイ,シャロン(著)、Schwartz,Jeffrey M.(原著)、Begley,Sharon(原著)、利子, 吉田(翻訳)
  • 出版社:サンマーク出版
  • 出版日:2004-06-01

ミニレビュー

本書の主張は、ずばり邦題がよく示しています。

引用:

たぶん、方向性をもった精神的努力が脳の構造と機能を変える力をもっていることに人々の目が向けば、意志の役割をもっと重要視するようになるだろう。(「おわりに」)

意識の勉強をしていくと、量子とか宇宙とかいう言葉がよく出てきます。その解説書を探していて本書を見つけました。

著者は、「自由意志はない」という機械的な一元論には否定的で、心の力を信じる立場を取っています。その立場から意志の働きを説明すべく、量子物理学者ヘンリー・スタップの助けを借りて、次のような仮説を導きます。

引用:

少なくとも原理的には、量子ゼノン効果によって関心の繰り返しが――関心とは、脳のなかで競い合うさまざまな思考のなかのひとつの流れを繰り返し観測することにほかならない――脳の量子的側面に影響するはずだ、とスタップは考えた。「心が間をおかずに繰り返して『この考えを取り上げようか?』と問いかければ、脳はその考えに関心の焦点を向け続けるだろう」とスタップは言う。(略)
 心が問いかける力――「この考えに注意を払おうか?」――は、ある考えを決定的に強化するので、その考えはほかの考えをすべて沈黙させてしまい、その考えだけに関心の焦点が向けられる。これは魅力的なメカニズムに思われる。

スケールの違う話がごっちゃになっているように感じられてなりませんし、結局のところ関心(attention)を特定の対象に向けさせる動因が何なのか、よく分かりません……。ただ、「量子脳理論」一派の主張が垣間見られたことは収穫でした。

コンセプトノート