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ワインバーグの文章読本

  • タイトル:ワインバーグの文章読本
  • 著者:Gerald M. Weinberg(著)、ジェラルド・M・ワインバーグ(著)、G.M.ワインバーグ(著)、伊豆原 弓(翻訳)
  • 出版社:翔泳社
  • 出版日:2007-11-20

ミニレビュー

ジェラルド・M・ワインバーグは、『コンサルタントの秘密―技術アドバイスの人間学』などの著書がある、IT業界では有名な文筆家です。「文章読本」というタイトルではありますが、文法や言葉づかいの話はほとんどありません。

この本では、ネタを拾いながら作品を同時並行的に作っていくことを、石を拾って城壁や家を造るプロセスになぞらえて「自然石構築法」と呼んでいます。石を拾う段階では、それがどの作品のどの部分に収まるのかは、分かりません。

引用:

専業ライターは一度にひとつのことだけを書くことはめったにないのだと知っておくといい。
(略)
わたしのようにいくつかのプロジェクトを並行していれば、石を見つけたとき、「よし、これはAの壁にちょうどよさそうだ」と考えたりする。もちろん、その石はAの山に積む。しかし、単にその石が気に入ったから拾ってきたという場合もある。そのときは特にどの壁用と決まっていないXの山に積む。ここの石は気に入ったものばかりなので、何か壁にはめ込むのにちょうどいいおもしろいものや興味をひくものを探して行き詰まったときは、この山をのぞいてみる。

「自然石構築法」はステップとして明示されているわけではありませんが、おおよそ次のようなステップから構成されています。最初の行をゼロとしたのは、これが『文章を書くために一番大切なこと』だから。これは方法論というより心構えです。

0. 興味のあることだけに集中する
1. 興味を持った「石」をとにかく集める
2. 「石」を取捨選択する
3. 「石」を積み上げる
4. 作品を仕上げる

この本での「石」は、文章のネタを指しています。しかし「仕事のポートフォリオ」づくりを実践している人は、この「石」をさまざまな仕事のネタに置き換えて読むことができます。作る作品がワインバーグのように「文章」でなく、講義や何らかのパフォーマンスという人であっても、石の拾い集め方や磨き方は参考にできる部分が多いと思います。