ミニレビュー
引用:
どんな人間も、個人個人としての個人、家族の一員としての個人、社会のなかの個人、という三つの面をもっている。(p13)
信仰や法律、社会(共同幻想)とも、また一個人(自己幻想)とも異なる位相にあるのが「家族」なのだということを最初に指摘しておきたい。(p17)
吉本隆明氏79歳の書下ろし。乳幼児期―少年少女期―思春期―成人期―老年期という章立てで、ところどころ自らの人生を振り返りつつ、家族(対幻想)について語っています。
内容についていくつか感じたことがありましたので別途コラムなどでまとめたいと思います。ここでは内容以外の部分で感じたことをメモしておきます。
・「自らの頭で考えて書く」という作業のお手本のよう。参考文献の少なさ、「おもう」という言葉(なぜか平仮名)の多さが、それを裏付けている。ピーター・ドラッカーの本も参考文献が少ないが、それと似たような読後感。
・文章が平明。平明に書けてこそ難解な内容を述べる資格がある。
・『家族問題だけに専念できたとしたら、それだけで生涯を費やす大事業になることは疑いない。』に同感。
・まるで納得できない主張もある。