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グループ・アイデアマラソン発想法


ミニレビュー

みんなでアイデアマラソンだ!

アイデアマラソンは、ITmedia Biz.IDでもおなじみの樋口 健夫氏が開発した発想法です。

引用:

 

 アイデアマラソンの基本型は、「毎日、最低一個何かの発想を思いつき、絵や図をまじえて簡潔にノートに書き入れること。そして、まわりの人に話すこと」である。
 アイデアマラソンは、毎日何かの発想をノートに記録し、まわりと話し合うことで、発想力を強化していく単純な方法だ。

Amazon.co.jpを検索してみると、氏がアイデアマラソンの本を初めて上梓したのは1992年。それから今年に至る16年間で、10冊前後のアイデアマラソンあるいはノート術の本を出版されてきています。

わたしは樋口さんのように番号を振ったりICレコーダーを持ち歩いたりという域には達していません。ただ、やはりふと思いつく発想がいかにあえか(たよりないさま。「広辞苑」より)なものであるかは痛感しておりまして、アイデアの捕捉には工夫をしています。ですのでアイデアマラソンにも興味を持っていました。

本書は、これまで個人単位の活動であったアイデアマラソンを【グループで】活用するための本です。アイデアマラソンについてまったくご存じない方でも、この本だけで完結するように、第1章はアイデアマラソンの実行方法についてまとめられています。その後、グループにアイデアマラソンのシステムを導入する方法やメリットについての解説が続きます。

ブレストの助走としてのアイデアマラソン

まず、アイデアマラソンはブレストの助走になるという発想。

引用:

 

ブレストから生まれた新製品や新企画も数多くあるだろう。
 しかし、ブレストは、その場の即興で発想を出していくという方法で、事前に課題の検討や、素地や発想を蓄えて、会議の場にもち込むというやり方ではない。つまり助走をしないで、「ジャンプしろ」と言われるようなものだ。

これは間違いないところでしょうね。上記の短所を克服するために、事前にひとりブレストをしてアイデアを書きためてから参加するなどの工夫をすることがありますが、日頃アイデアの蓄積があるか無いか、アイデアを出す訓練を積んでいるかいないかで、ブレストの成果は大きく違ってきそうです。

普通の組織は日頃アイデア不足に悩んでいるので、アイデアをひねり出すところに仕事の力点があります。しかしグループ・アイデアマラソンは、とにかく大量のアイデアを生み出して、そこからふるい分けていこうという発想。組織としてこれらのアイデアをどうさばいていくか、これまでとは違ったレベルの挑戦がありそうです。

グループ・アイデアマラソンは、すでにジャパネットたかたなどの企業で研修を経て導入されているとのこと。本書にもいくつか事例があります。まだ若い事例が多いので、具体的な成果については次回作以降のお楽しみです。

また厳密にグループ・アイデアマラソンという方法でなくても、社内ブログや社内SNS等の仕組みで、アイデアの生成・流通・増幅に取り組んでいる企業は多いと思います。そういった企業にとっても、樋口氏の取り組みからは多くの示唆を得られると思います。