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ビジョナリー・カンパニー 2 − 飛躍の法則


ミニレビュー

前作『ビジョナリー・カンパニー』が創業時から一貫して偉大だった企業を対象にした研究だったのに対して、この本の調査対象企業は、10〜20年間も市場平均以下だったのに、ある年を境に15年以上市場平均の3倍の成績を挙げ続けるという「飛躍」を遂げた企業を抽出し、その成功要因を探っています。

この本で書かれている飛躍企業に共通しているのは、「謙虚さ」と「不屈の精神」を併せ持ったリーダーが「ハリネズミ戦略」(自社が世界一になり得る部分を見定め、それに集中する)によって成功への「弾み車」を辛抱強く回していくことであり、カリスマCEOや斬新なテクノロジーに牽引された成功ではないということでした。ご自分で企業を経営されている方にはすごく勇気付けられるメッセージばかりです。

さて、起-動線の書評に挙げるということは、当然、個人の生き方を考える上で参考になる点があると思ったということです。企業の話ではありますが、個人に置き換えて人生哲学の読み物としても面白く読めると思います。

それまで平々凡々のように見えていたものが、ある時期から目に見えて伸びてくるという点で、複利運用の強さに通じるものがあると感じました。

毎月1パーセントずつ自分を伸ばしていくと決めたとしましょう。1年(12ヶ月)経っても13パーセント弱、2年後(24ヵ月後)でも27パーセント弱の伸び。パッとしない成果かもしれませんが、100パーセント増すなわち倍になるのは案外早くて6年弱です。では3倍は12年?いえいえわずか9年と3ヶ月。それから2年半後の11年と8ヵ月後には4倍になっています。伸ばしていくものが何であれ、毎月1パーセントずつ自分をバージョンアップしていくと心に決めてみるのも面白いかも。