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ハーバード流 キャリア・チェンジ術


ミニレビュー

monzaさんから紹介されました。これは面白かった!

■「キャリア・チェンジ」はただの転職ではない

引用:

 この本は万人向けではない。仕事をはじめたばかりの人や、情熱を注いできたキャリアを捨て楽な道を歩みたい人にはおすすめできない。時間や気力や知識を仕事に長年費やしたあと、職業人生半ばで方向性に疑問を持った人に向けて書かれている。

キャリア・チェンジは、単なる転職ではありません。「キャリア・アイデンティティ」を修正する、長くて辛い(しかし最後には報われる)過程を指しています。

この本の冒頭で、精神科医から仏教僧に転身したピエールと、IT担当の経営幹部からフリーランスのコンサルタントになったルーシーの2人のケースが紹介されます。

外面的には明らかにピエールのほうが大きなキャリア・チェンジであり、ルーシーのそれは、「ありがち」なキャリアのステップを踏んでいるだけのように思えます。しかし2人にインタビューをして、それぞれの物語を聞きだしてみると、内面的な勇気や苦しみの多さから言えば、ルーシーのほうが大きな変化を経験していたのです。

変化の度合いはきわめて主観的なものですが、しかし、大きな変化をくぐりぬけた人たちが直面した問題や対処の仕方には共通点もあります。それを詳細に調べ、分析したのがこの本です。

■動く。考える。そしてまた
この本の主張の中で特に目立つのは、下の2点でしょうか。

× 計画してから行動する
○ 試しながら学ぶ

引用:

 キャリア・チェンジを試みる際の最大の間違いは、目的地を決めてから一歩を踏み出そうとすることだ。この考え方がよい結果につながらないのは、(略)実際に行動し、具体的な選択肢を試すことで人は自分を知るようになるからだ。

× 人は心の底に本当の自分を1つ持っている
○ 人は数多くの将来の自己像を持つ

引用:

大切なのは心の底の本当の自分を初めから把握することではなく、将来の自己像を思い描いては試すといういくつかの段階の第一歩を始めることだ。どれほど自分を見つめても、直接経験することの代わりにはならない。選択肢を評価するには経験が必要だし、評価の基準も経験を重ねるにつれ変わっていく。

更にもう1つ、

  キャリア・チェンジには時間が掛かる

引用:

 キャリア・チェンジは予想よりはるかに時間のかかるものだ。新しい自己像のために、これまでの自己像をいくつか手放さなくてはならないからだ。

ということをこれほど明確に述べている本は初めてでした。挙げられた事例でも、仕事・生活・先行きの不安を抱えながらあれこれ試しては選択肢をつぶしていくような作業が、2〜3年は続いている人が多いのです。

「自分ナビ」作成プログラムでも、最初に「チャレンジの仮決め」、つまり何でもいいから「行動」する目標を置いてみます。
伝統的なキャリア・カウンセリングでは自己分析から始めますし、「そもそも何をするかが決まらないという人が多いので、自己分析から始めたほうがよいのではないか」というアドバイスをいただいたこともありますが、「動く」重視のアプローチを見事に補強してくれたという点からも、起-動線的にはフィーチャーしたい1冊 。

「物語」の重要性、人のつながり(実践コミュニティ)がキャリア・チェンジに及ぼす影響などなど、起-動線で追いかけていたテーマが満載の本なので、まだまだ書き足りないのですが、いずれ改めて取り上げたいと思います。

【参考】
> FASTCOMPANY誌のblog“Identity Shift”
>それを引用している梅田望夫さんのblog「これからは「前向き」なキャリアチェンジを」

起-動線ジャントー・クラブ「今月の一冊」2004/4

コンセプトノート

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